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2011-05-07

寄生虫(8')

十数回か二十数回の絶頂の後、ホウオウレンジャーは広場を囲む大木の一本の根元にうつ伏せで倒れていた。
胴衣の隙間から粘液が滴り落ち、身体が時折ピクピクと痙攣する。完全に気を失い、それによって触手も一時的に動きを止めていた。
立ち上がろうとするたび触手に逝かされ、敵に背を向けながら這うようにしてこの木のもとへ辿り着いた。幹にすがり付いてやっと身体を起こし、尻を敵に突き出した姿勢のまま気絶するまで犯されたのだった。

「さて……」
幼虫博士の鈍重な体が背後に迫る。その気配を感じて、ホウオウレンジャーはうつ伏せのままぼんやりとした意識を取り戻した。木の根に頭部をもたせかけて、顔だけを横に向けたままほぼ大の字に倒れている。細触手の群れに纏い付かれている感触は相変わらずあり、鈍い快楽の残滓が全身に染み込んでいた。しかし触手の活動が止まり、辛うじて声を上げずにいられる。
(ま…まずいわ…… このまま……止めを刺されたら……)
気絶から覚めたことに気付いていない幼虫博士がすぐ後ろに居る。反撃にせよ逃走にせよ、これが最後のチャンスだろう。だがもう身体が消耗し切っている。起き上がっても駆け出すことすらできないに違いない。
「そろそろ目を覚ましてもらおうかな……? それともこのまま標本として保存するというのも……」
(何か……なにか手が……!)
仲間が応援に来てくれることを今の今まで期待していた。しかしもうそれを待っている猶予はない。何かこの状況で出来ることがあるはずだ。何か利用できるものが……
気絶している振りをして、マスクの中で目だけを動かして周囲を伺う。強い日差しの中、葉を密に茂らせた大きな枝が作る日陰の中に倒れている。この角度からは幼虫博士や戦闘員の姿は見えない。目に入るのはただ地面と木……
と、その木の枝に何か丸い塊のようなものが見えた。
(あれは……)
その塊の正体に気付いたとき、ホウオウレンジャーの脳裏に閃くものがあった。
(使えるかも……! ううん、もうこれしかない!)

弛緩し切っていた手足にゆっくりと力を込めると、最後の力を振り絞って勢い良く跳ね起きた。
「うおっ!」
幼虫博士が驚いて後ずさった。ホウオウレンジャーの反撃を封じようと、スーツの中の触手に合図を送ろうとする。しかしそれよりも一瞬早く、ホウオウレンジャーが地面に落ちていた武器をなんとか拾い上げ、それを博士にではなく、頭上の枝に向かって投げつけた。
木の枝にぶら下がっていた、一抱えほどある大きなスズメバチの巣が地面に落下し、中に居た無数のハチが辺りに飛散した。轟音を立てて飛び回る昆虫の大群が、黒い雲のように広場に居た者を包み込んだ。
「オ、おぉっ、ウワアアァッ!!」
完全に意表を突かれた幼虫博士とコットポトロ達が逃げ惑う。彼らと同じくいきなりの衝撃に興奮したスズメバチの群れは、周囲に居たゴーマ達に見境なく襲いかかった。思った通り、幼虫博士の脆弱な体表にこの攻撃は致命的だった。
「ギャッ、ギャアァッ! やめろ助けてくれ! ヤメロ!」
幼虫博士に、自然の昆虫をコントロールする能力までは無いようだった。ブヨブヨの皮膚を数千、数万の針に刺し貫かれて、博士は断末魔の悲鳴を上げて地面を転がった。
そして、ホウオウレンジャーのスーツは今度こそ本来の性能を発揮して、強力な毒針の刺突から身を守ってくれた。
「……どう? 苦手な虫に纏い付かれる気持ちが分かった?」
弱々しくなっていくゴーマ達の悲鳴と共に、ホウオウレンジャーはスーツの中の触手粘膜が解け落ちていくのを感じて緑の木のもとにほっと腰を下ろした。

(完)

2012/8/4 脱稿。途中に長期中断しましたがお付き合いありがとうございました。
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