FC2ブログ
--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2012-08-04

再開

長らくご無沙汰していました。

他記事のコメント欄にも書きましたが、一作書き終えた状態で更新中断すると次が書けなくなるんじゃないか……と思って書きかけで中断していたところ、そのまま何年も立ってしまいました。
その間リクエストを頂いたり、さらに以前のリクエストにも応えないままだったりしますが、いちおう今後しばらくの活動方針が固まりましたのでまずはまずは中断作を完結させました。

ちなみにこの分岐ルートは初めてSSをグッドエンド(バッドエンドの反対)で終わらせたものです。少しは特撮ヒロインSSらしい雰囲気にできたかと思っていますが……



追記:寄生虫(8')のコメント欄でやり取りしていたネタを元に、早速「愛玩」というタイトルで短編を書き始めました。今まで以上に趣味に走った話になりそうです。
2012-08-05

愛玩(1)

「はっ!!」
舞台中央に据え付けられた太い石柱をホウオウレンジャーの手刀が水平に打ち据えると、一瞬の間を置いて石柱に横一文字の罅が入り、上半分が傾いて落ちようとした。電信柱よりやや太い、背の高さほどのそれをホウオウレンジャーは素早く両手で支え、横倒しに抱えると、やがて音を立てないようにそっとタイル張りの床へ横たえた。
「オオオ~ッ」
数人の観客が歓声を上げて拍手し、薄暗かった照明が元通りに点された。ソファ席のすぐ近くにステージのある小さなショークラブのような部屋で演武を行っているのはホウオウレンジャー、天風星リンの転身した姿だが、その出で立ちがいつもとは少し違っていた。鳳凰を図案化したマスクにはほとんど変わりはないが、ピンクと白の特殊繊維で構成された、拳法着を元にしたダイレンジャーのスーツをもう少しチャイナドレスに近付けたような、優美なデザインの全身密着衣装を纏っている。
ステージの脇からリンの大叔父にあたる老道士・虞翻が登壇し、観客に向かって礼の姿勢を取るホウオウレンジャーに観客席へ移るよう促した。


この会は、虞翻がある目的のために企画したものである。
リンが虞翻から今夜のことを聞いたのはちょうど一週間前のことだった。
「リン、次の週末には予定を開けておいてくれんか」
「来週? 別にいいけど…… 何かあるの?」
先月から日本に滞在してダイレンジャー基地とリンの自宅を往復していた大叔父は、最初のうちは新しい発明品の開発に熱中している様子だったが、ここ数日はリンの家にも来ず、他のダイレンジャーにも顔を見せずに毎日あちこちへ出かけているらしかった。
「うむ、ダイレンジャーの今後にとって大事な話があるんじゃ」
虞翻の顔は珍しく真剣な表情だった。

リンが受けた説明はおおむね次のような話である。日本でダイレンジャーとゴーマとの戦いが始まってから、東京駅地下の秘密基地や各種機器の維持費はダイ族の資金で賄ってきたが、とてもそれだけでは足りず、日本に居住する中国の資産家、いわゆる「華僑」の協力を得て活動してきたという。
「ま、お前の仕送りの一部もそうじゃな」
社会経験としてアルバイトもしているが、確かにリンのもとには毎月少なくない生活費が届けられて余裕のある暮らしができていた。
警察をはじめとする政府の力からある程度自由にダイレンジャーが活動できているのも華僑の人脈と影響力によるもので、そうした力を持つ人物の中には裏社会に通じる者も多く、余計な心配をさせないように今までリンには黙っていたという。
「それで、来週はその華僑の人達に会いにいくっていうこと?」
「そ、そうなんじゃ。話が早いのう」
「いつもそんなお世話になってるんなら一度くらいお礼を言わないとね。他のみんなは知ってるの?」
「いや、それが今回……向こうがお前一人を指名してきたんじゃ。本来はあまり顔を知られたくないという人の方が多いんじゃが、今回は、その……お前のファンだという人の希望で、会議の後の、つまり余興に少し登場してくれという事じゃな」
なぜか言いにくそうな虞翻の様子を気にも止めず、リンは喜んで応じた。
「へえ、いいじゃない。でも余興って私は何をするの?」
しかしその後、詳しい事はまた今度、特に準備はいらないから、などとはぐらかされている内に、当日の夕方がやって来てしまった。

次へ
2012-08-05

愛玩(2)

虞翻の運転する自動車でリンは会場へ向かった。
東京都心の、最近になってチャイナタウンの様相を呈してきた街の裏通りに車は滑り込み、しばらくして〇〇飯店と看板の出たビルの前で止まった。単なる飲食店ではなく、中国式にホテルという意味も含んだ「飯店」なのであろう、地下駐車場を備えた大きなビルだった。
「どうかなおじいちゃん、この服でも変じゃないかな?」
目上の人物ばかりのパーティーに招かれるというのに結局服を買いにいく暇がなく、リンは前から余所行きのたびに着ているワンピースに少しのアクセサリーを付けた服装だった。
「ん、まあ悪くないと思うぞ、服はまあ、失礼のない程度でよい……」
上の空で答える虞翻に連れられて、リンは地下駐車場脇の従業員入口から宴会室へ入場した。


裏口から入ったため、小さな宴会室の奥にある楽屋のようなスペースからカーテンを開けて登場する事になってしまった。ナイトクラブ、ショーパブとでも言うのか、数人のバンドがなんとか演奏できる大きさのステージがあり、そこから小さな段差を隔てて約10人掛けのソファ、ローテーブルなどが置かれている。
ソファに掛けているのは中年から老人の年代の男が数人だった。宴会はすでに始まっていたようで、グラスや酒類がテーブルに並んでいた。男達はリンの姿を認めると笑顔でそれぞれに立ち上がった。
「これはこれはお待たせ致しました。早速紹介致します。ご存知の通りこちらがホウオウレンジャー、ワシの義理の孫娘にあたるリンです」
やや慌てた調子で、虞翻が協力者だという華僑の男達にリンを紹介した。
「はじめまして、よろしくお願いします」
リンが挨拶すると、最年長に見える老人が西洋式に握手の手を差し出して来た。
「今日はよろしく。まあそう緊張せんでもいい」
手を握ると、見た目には似合わない力でがっしりと握り返してきた。裏社会にも通じている人物が多いと聞いていたが、確かにみな単なる実業家とは違う眼光の鋭さ、雰囲気が感じられた。
「いや映像でも見させてもらったが、本当に美しい」
リンの手を包み込んだ両手をにぎにぎと動かしながら老人が嬉しそうに言った。他の男達も順にリンに握手を求め、いつも応援している、会えて本当に嬉しいとアイドルのファンのようなことを口々に言った。
正義のヒーロー、ヒロインといっても決して有名人ではなく、むしろ世を忍ぶ存在である。こうした知人以外の人間から応援を受けることは滅多にない事なので、リンの方も舞い上がってしまって、しばらくは握手会のような会話が続いた。

「オホン。それではそろそろ……」
虞翻が咳払いをしてから、いつも発明品を入れて持ち歩いているトランクを脇のテーブルに持ち上げて言った。
「まずは、いつもご出資を頂いているダイレンジャーの技や装備を生で見て頂きたいと思っております」
そしてまだ何も打ち合わせをしていなかったリンを近くに呼ぶと、トランクの中から転身に使うオーラチェンジャー一式を出して渡した。
「今日は無理を言って来てもらって済まなかった。これはワシからちょっとしたプレゼントじゃ。」
「これって…… もしかして新型のオーラチェンジャー?」
いつも付けているものよりやや小型で、装置のデザインも少し洗練されたように感じる。
「そうじゃ。今日はスポンサーの皆さんの前でお披露目も兼ねてテストをするんじゃ」
「いよいよだな」男の一人が、壁に据え付けられた電話の受話器を取り、ステージの準備をするように誰かへ連絡した。

次へ
2012-08-05

愛玩(3)

新型のオーラチェンジャーを両手首に装着し、リンは階段1段ほどの高さしかない舞台に上った。
「気力転身! ……オーラ・チェンジャー!」
気合いとともに左右のパーツを合体させると、ピンク色の閃光と共に、リンは空中の元素がスーツの皮膜を形成して全身を包み込むのを感じ、ホウオウレンジャーの姿へと転身した。それと同時に観客席からは歓声と、カメラのシャッター音が響いた。

新型のスーツとはどんな物だろうと予想する時間もなかったが、リンの目から見て新スーツはなかなかの出来だった。ピンク色のぴっちりとしたボディスーツに同色のグローブとブーツ、下半身が短いスカートとなった白い胴衣というのがいつものスーツの構造だったが、まずグローブが頑丈な人工皮革ではなく、胴衣と同じような透き通る白さの柔らかい生地に変わり、それが腕に密着してすらりと肘まで伸びていた。ブーツも同様の白い素材で、足首から下はややしっかりとしているものの、ニーソックスのように太腿の途中までを覆っている。そして拳法着のような胴衣は正面に開きのない、より身体に密着したものとなっていた。一言で表現すれば、以前のスーツのチャイナドレス的な意匠をより強調した女性的なデザインだった。
「すごい、可愛い!」
今日はせっかく主賓級で招かれたパーティーに新品の洋服で来れなかった事がさっきまで不満だったのだが、この新しいコスチュームはドレスとしても満足のいく物だった。
「えっと、今日はこういう日だから特別なスーツで……?」
舞台脇の虞翻に問いかけると、客席から声が掛かった。
「いや、いいだろう。これを採用しよう」
「うむ! 次回からは是非これで闘ってもらう事にしよう」
「好評でなにより……」
虞翻が言うと、客席からさらに声が飛んだ。
「決め台詞を忘れるなよ」
戦士の「名乗り」のことである。やや気恥ずかしい気持ちもあったが、リンは正面に向き直り、「ホウオウレンジャー、天風星リン」の発声と、鳳凰拳の素早い型の連続を見せた。

両腕を斜め上に差し上げたポーズが決まると、再びシャッターの音が盛んに響いた後、「スポンサー」である男達がリンの周りに集まった。今の激しい動きで実感したが、スーツの生地は全体的に薄いものに変わったようだった。生地の締め付けがわずかに強くなり、ブーツやグローブがよりしなやかなものに変わったことで動きやすく感じる。そのすべすべとしたグローブに中年の男が手を触れた。
「いや、見事なものだねぇ」
「あ、ありがとうございます」
手鏡を渡され、マスクに変更がないらしいことを確認していると、また別の男が後ろから両肩を掴むようにしてスーツの質感を確かめて来た。
「っ……」
さらに、前にしゃがみ込んでベルトの辺りをじっくりと点検している老人も居る。男達は、まさにスポンサーが新製品をチェックするように、ホウオウレンジャーのスーツを無遠慮に撫で回し、指で摘み上げて、その手触りや肌への密着度合いを確かめてくる。
転身しているために常人よりも敏感になっている感覚がごつごつとした指先を感じ取り、裸の上に極薄のスーツを纏っているのだということを意識せざるを得ない。体温がやや上昇し、スーツの表面にうっすらと汗をかき始めている。だが大切なスポンサーに触らないで下さいと言うわけにもいかない。
「ふうん、勿論これもいいとは思うがね、今回はやはりこれまでの映像にあったスーツを生で見たかったな」
一人が言うと、リンの後ろに居た男が首から胸元にかけてを撫で回しながら言った。
「だがせっかくの『生』ですよ。こうして実物の性能というものをですな……」
「いやまあ、そういう実地研究はやはり後のコーナーでじっくりと……」
このあたりで下卑た調子の笑いがどっと起こったが、リンにはその意味が良く判らなかった。「後で別の店に行こう」というくらいの意味に取ったが、それよりも、中高年の男に囲まれて身体を品定めされる状況から早く逃れたいということで頭が一杯だった。第一印象では比較的紳士的な人物ばかりかと思っていたが、やはり色々な意味で油断のならない男達のようだった。

次へ
2012-08-06

愛玩(4)

余興のプログラム進行が決められていたおかげで、男たちの商品扱いからは一時逃れる事ができた。演武の披露と、スーツの性能テストを兼ねた「試し割り」を行うのだった。
「いきます!」
この演武の途中で初めて気付いた事として、新しいスーツにはもう一つ変更が加えられていた。着用感触だけではそれに全く気付かなかったのだが、スカートの下にはショーツが、いやショーツと言って短いズボンと混同することを避けるならば、パンティが追加されていた。白く伸縮性のある、恐らくは今のグローブや胴衣の表面と同じ素材で出来た薄いショーツである。ごくシンプルな形で、面積の少ない布地がぴっちりと局部に食い込んでいるが、この素材には吸水性はほとんどなく、下着としてはあまり機能的でないものだった。
元々のスーツではスカートの下はスポーツタイツのようにボディスーツ一枚だけで、しかし透けるわけでもなく防御や衛生面にも問題がなかったため、いつしか下着が無いことに慣れてしまっていた。今のショーツはデザイン上の配慮なのだろうか、しかし、いかにも女性用下着といった形状のために、身体を覆う生地が増えたはずが逆にスカートの内側を見せる事を躊躇してしまう。これは早いうちに虞翻に相談すべき問題だった。

「たっ! はぁっ!」
薄くなったスーツだが、ブロックや石柱を拳や蹴りで破壊しても手足を痛めるような事はない。むしろ身体の動きが軽くなって感じられる。
軽いと言えば、武器がなかった。試作品のせいか、いつも両の腰に下げていたスターソードとスターカッターはホルスターごと省略されていて、裸の上にスーツだけというやや頼りなさを覚える装備だった。
(武器も新しくしてもらえるのかな……?)
最近の虞翻の発明の中では、大輪剣や気力バズーカの威力が凄まじかった。あれがなければきっと負けていただろうと言う戦いも幾つかあったのだ。虞翻は車中で研究資金の捻出が大変で大変でと繰り返し言っていたが、やはりそうした資金を引き出すためにはリンもこのような場でスポンサーへのサービスに努めるべきという意味なのだろう。
舞台に引き出された石柱を真っ二つにし、席へと戻る前、リンは虞翻に小声で尋ねた。
「ねぇ、このスーツ、いいんだけど、ちょっとその…… 大胆すぎない? ほら、スカートの下とか……」
「だ、大胆か、そうじゃのう…… 何しろ色々な人の意見を取り入れて作ったからのう……」

話の途中で、待ちかねた様子のスポンサー達からお呼びがかかった。
「ここ、ここに座りなさい」
最初に握手した老人と、太った中年の男の間の席がポンポンと叩かれた。
「失礼します」
高価そうな黒い革張りのソファの中央にリンは腰掛けた。
腰をかがめるときに気になったのだが、座ってみるとやはり、スカートの短さとショーツが気になった。このような柔らかいソファに深く腰掛けるとどうしてもスカートの端から白いショーツが覗き、恥ずかしがる必要はないはずだがやはりスカートをできるだけ引っ張り、脚を堅く閉じ合わせてしまう。
「素晴らしかったよ」
「あっ、ありがとうございます」
「後はゆっくりとね、ほら何でも好きなものを飲みなさい」
「はい。あっ、そうだ転身を……」
酔った男ばかりの空間にいることに本能的な警戒感が働いたのかも知れないが、転身を解くことをすっかり忘れていた。
「いや、折角の機会だ。そのまま、そのまま」
「それはマスクだけを取ることも出来るんだろう」
言われてリンはスーツのマスクだけを解除した。首から上が露わになり、後ろにきつく束ねられていた長い黒髪が解けてさらりと背中へ流れた。
「うん、これもいい」
それを見た男達はソファを移動させ、リンの近くに集まった。

動いた後で喉は少し渇いていたが、テーブルの上には酒ばかりだった。とりあえず氷水を少し貰ったが、これを一口、ならこれも、と各種の瓶に入った酒や飲料を次々と勧められた。
実は酒を飲んだことがないわけではない。手に持っていたグラスに注がれた酒に恐る恐る口を付けてみると驚くほどすっきりと甘くて飲みやすく、つい他の酒類も勧められるままに飲んでしまった。

次へ
2012-08-07

愛玩(5)

酒のせいか、場は急に打ち解けた雰囲気になってきた。
「名前がまだだったね。金(キン)です、今後ともよろしく」
隣に座っていた太った中年男がリンに自己紹介した。
「皆さんは普段どんなお仕事をされてるんですか?」
「仕事ね、今日来ている人はみんなバラバラだね。そっちの王(ワン)さんはビルとか不動産、胡(フー)さんは金融関係…… 私は何でもやるよ、輸入、小売、人材派遣、そうそう、最近は映像プロダクションとかね」
「というと、テレビとか映画のお仕事? すごーい!」
「そう、だからダイレンジャーを主役にした作品も企画してるよ。ヒロインの君さえOKなら、すぐにでも製作を始めたいくらいだ」
「やったぁ! もちろんOKです」
喜ぶリンの様子を見て、金は他の男に目配せすると自分の鞄から何本かのビデオテープを取り出した。
「じゃあ今日は……、皆でこれを見てみようか」


照明の落された部屋のスクリーンに映写機で再生された画面には、まずホウオウレンジャーのアップが静止画で映った。
「あっ、私……」
映像が始まり、画面の中のホウオウレンジャーは動き出したかと思うと両手で頭を押さえ、身体をよじって苦しみ始めた。
「えっ、えっ…… 何……?」
無音だったビデオに音声が入る。ホウオウレンジャーの苦悶の声と共に、どこかで耳にしたことがあるメロディ、高音の女声合唱が流れてきた。
『め……恵さん、やめて!』
自分の台詞を聞いて一気に記憶が蘇った。これは過去、口紅歌姫との闘いの中で、「悪魔聖歌隊」として操られた女性達の殺人音波と化した歌声を聴かされて苦しんだシーンである。あの歌声の全身を貫く苦痛、表情を無くした友人達から遠巻きに攻撃を浴びせられて地面をのたうち回るという恐怖はこのメロディ共々忘れられるものではなかった。
『うあああぁっ! あっ! あっ!』
むしろ忘れてしまいたいと思っていたほどの悪夢のような出来事である。さっきまでの浮ついた気分や酒の酔いはこれで完全に消し飛んでしまった。
「ど、どうしてこんなビデオがあるの?」
映像が残っていると言う事は撮影者がいるということだ。中国の奥地、偶然飛ばされた土地での戦いであったはずがなぜか鮮明な映像で記録されている。
「これはゴーマの情報システムに残っていたものじゃ。ワシが機械の残骸から入手した」
虞翻が横から解説した。
「怪人やコットポトロが戦いの様子を記録していることがあるようじゃな。おそらくダイレンジャーの戦力の分析という目的じゃろう。それを知ってワシの側でも戦闘時の映像記録を始めたのだが……」
映像の中のホウオウレンジャーはほとんどが攻撃を受けている姿である。マスクを通り抜けて鳴り響く有害音波を浴びてまともに立っている事すら出来ないのに、コットポトロ達はそこを狙って殴り、蹴り、斬りつけてくる。演武で見せたような華麗な拳法の動きはほんの一部しかなかった。後は攻撃を何とか捌き、リンチの痛みに悶え、呻き声を上げながら地面に転がっている。
「こうした苦戦のデータを元に装備の強化を図っているんじゃ。恐らくゴーマもな。だから分かるじゃろう、お前自身も、もっともっと強くならねばならん」
「は、はい……」
口紅歌姫の凶悪さは怪人の中で群を抜いていたが、こうして自分の戦いぶりを見せられると反論のしようがない。
歌声の毒気までは流石にこの音声に記録される事がなかったようだが、一度は文字通り身体に染み付くほど聴かされ続けた特有の旋律を長時間耳にしているとあの時の苦しみが蘇ってくるようだった。不快な空気の振動がまず聴覚神経を支配し、脳、脊髄、骨盤、そこから全身へと、神経繊維の全てを微細な金属ブラシでしごき上げられるような激痛が走る。そして旋律から、口紅歌姫の怨念のようなものが伝わってくるのである。歌でお前の精神を破壊し、女として使い物にならなくしてやる……
『あはぁっ! あっ! あ……あぁ……っ!』
場面は天宝来来の玉を手に入れる直前だった。この後のホウオウレンジャーの活躍と、調子を取り戻したダイレンジャーの反撃のシーンが始まろうとする前にビデオは唐突に巻き戻され、苦悶のシーンが再開された。
『くふああぁっ! み、耳がぁ……っ! 止めて、歌を止めてえぇっ!』

「ああっ!」
耐えられなくなったリンはついに耳を塞いでソファに座ったままうずくまった。
「大丈夫か?」
「あ……ありがとうございます」
周りの男達の事をすっかり忘れるほどビデオの世界に呑まれてしまっていた。全身に掻いた冷や汗がソファ座面の革をじっとりと濡らしている。
「特に大変な戦いだったようだね」
「はい……」
やや放心状態のリンに、映像を用意した立場である金が問いかける。
「すごく苦しんでいたよね。あれは痛いのかい」
「は、はい…… 動けなくなるくらい……」
「耳だけじゃないんだね」
金は興味を持ったのか、殺人音波の苦痛の内容を詳しく言葉にさせようとする。
「はい、耳から足の先まで、骨の中…… 神経じゅうに擦られるみたいな痛みが走って、うずいて……」
リンもそれにまるで問診のように答えてしまう。何しろ歌声と苦悶の記録を目の前で再生され、痛みが幻覚のように今の身体に纏わり付いてきているのだ。
「マスクの中に音が反響して、頭が…… あの、ごめんなさい、もうビデオを止めて頂けませんか……!?」
息も絶え絶えに言うリンの様子を見て、どこか満足げに金は頷いてリモコンを操作した。

次へ
2012-08-07

愛玩(6)

映写スクリーンが何も映していない青一色の状態に戻ったためリンはほっとした。ソファから少し腰を浮かせて痛みの幻を振り払うようにスカートをぱたぱたとさせる。スーツの中は蒸れたりするものではないが、革のソファに収まってビデオに興奮しているうちにソファには尻の形に汗の染みが出来てしまっていた。
「さて、それではワシはしばらく……」
虞翻がリンにそう言って、おもむろに自分の席から立ち上がった。
「実はもう一件このビルで用事があってな。後で戻ってくる」
「え、えっ、そうなの?」
この会場に来たときと同様、どこか慌てたような不自然な虞翻の様子にリンは不審を抱いたが、引き止めるわけにも行かなかった。
「では皆様、リンをよろしくお願いします」
一体何を企んでいるのかと思ったのも束の間、ビデオが唐突に自分の姿を再び映し出したためにリンはぎょっとしてスクリーンを凝視した。

赤い装束を纏った地獄の三人官女のひとり、イヤリング官女が自在に動く髪を長く伸ばし、海棲生物の触手が獲物を捕らえるようにしてホウオウレンジャーの脇腹をぐるぐる巻きにする。生暖かい、独立した生き物のような髪の束が最初ふわりと巻き付いた後、一気に締め上げにかかった。
『く……うぅっ!』
スーツを着ていても肋骨が軋むような勢いで胴を締め付けられる。息を吸う事もままならない状態で振り回され、砂利の散らばった荒地に身体をめちゃめちゃに引きずり転がされた。体力を文字通り削られていくような攻撃にホウオウレンジャーの悲鳴が響く。仲間達は三人官女の残り二人に足止めされ、助ける者がいないまま、もはや闘いとは言えない一方的な暴行が続いた。
髪を振りほどく力もなくなった後に始まったのが、縛られたままでの電流責めと、地面への叩き付けだった。
『うっ! ふううぁあっ! あああああぁっ!』
宙吊りになったホウオウレンジャーに赤い光を放つ電撃が流れ込み、爆発を起こす。至近距離で爆風を浴び、逆関節に折れ曲がった身体がさらに高く振り上げられ、受け身も取れない姿勢で堅い岩盤に落下した。
『はぁっ! あうぁあぁっ!!』
その後もうこのビデオには完全に悲鳴と絶叫、火花を散らしながら持ち上げては叩き付けられるピンク色の人影しか写っていない。

「ずいぶん色っぽい声を出すじゃないか」
「え…… えっ!?」
横から唐突に声をかけられてリンはまた現実に引き戻された。苦痛しか思い出せない場面である。色っぽい声なんて……と思ったとき、横から伸びてきた手に太腿の内側をべっとりと撫でられた。
「ああぁうッ!」
背筋がぞくりとした。急に触られたせいもあるが、スーツに締め付けられた肌がいつも以上に敏感な触感を送って来た。少し触られただけで、自分でも驚くような声が出てしまった。虞翻が去ってから、男達の態度や、室内全体の空気が異質なものに変わってきたように感じられた。
「ほら、その声だよ……」
太腿の内側、ちょうどスカートの縁くらいの位置に金が片手を忍ばせて来ていた。その手の平がさらに足の付け根の方へとにじり寄ると、痺れるような奇妙な刺激が伝わって来て、振りほどくよりも前に声を押さえつける事で精一杯だった。
『ああああぁ~っ!』
前方のビデオではまだ自分が空中に持ち上げられ、悲鳴を上げながら電撃でボロボロになっていく様が上映され続けている。あの時の、ただの電気ではない妖力のこもった電撃に身体を苛まれる感覚が断続的に蘇り、今の状況と奇妙に一致して、なぜか金の手を払いのける事ができない。
「や、やめて……くださ……」
「あんな風に責められて、ただ痛かっただけじゃこんな声は出ないんじゃないか? ほら……」
金の太い指先がスカートの中、局部にぴっちりと食い込んだショーツの股布を引っ張るようにしてずらし、極薄のボディスーツの股間部に指を押し当てる。
「あ……ふっ、んくうぅっ!」
「ほら…… 何だいこれは……」
ソファに深く沈み込んでいたための汗に違いないが、スーツのその辺りがうっすらと湿気を帯びてきている事は事実だった。発汗量の多さと、薄いが通気性の良くないショーツのために、スカートの下には湿った熱気が籠もってしまっていた。それに気付くと、恥ずかしさのせいなのか余計に身体が火照り、スカートの中のわずかな空間をますます蒸れたものに変えてゆく。そこを指先で優しく擦り上げられると、甘い感覚に下腹部がぴくりと反応した。
「あ、ぁはっ、汗がぁ……」
頭が熱に浮かされたようにぼうっとして、もう呂律まで回らない。手足がぐったりとして愛撫に抵抗出来なくなっていく。ビデオと、酒に混ぜられた何らかの薬物の影響で、リンは一種の催眠状態にあった。

画面や記憶の中では締め上げ・電撃・叩き付けという拷問を受けながら、同時にショーツの内の敏感な部分を指でくりくりと弄られるのである。苦痛と快感が脳の中で入り交じり、一体自分が何の悲鳴を上げているのか分からなくなる。
痛い、苦しい、反撃の手段が全く無い攻撃を延々加えられる。実際の闘いでは間一髪のところでキバレンジャーに転身したコウに助け出されたのだったが、ビデオの中では永遠に続くかのような陵辱の様子が繰り返し再生されている。そんな中で下半身にもたらされる、甘く痺れるような快感は唯一の助けのように思えた。決して触られたくはない、こんな事をしていてはいけないと分かっているのに、触られている間は苦痛から抜け出す事ができると思うと抵抗できなかった。
「うッ、あぁ……っ! ああぁ! 」
(助けて……! 体が動かない……!)
まるで汗でソファに縛り付けられたように、リンはソファの座面と背凭れを汗まみれにしながら座った姿勢で身を捩った。
下腹部で高まりつつある性感は苦痛に支配された意識の残りを圧倒する寸前で、じっと座ってなどいられなかった。
(やめて……! やめ……っ!)

次へ
2012-08-12

愛玩(7)

「こっちへ来なさい」
金とは反対側に座っていた、これまでじっとリンの様子を観察していた王老人がふいにリンの片手を取り、優しく声をかけた。
「あ……、え? 私……?」
まだ意識の一部は催眠にかかったまま、リンはとにかく今の状態から逃れたい一心で王老人の側へ身を寄せた。

「大丈夫かね?」
「え……あ…… はいあの、ビデオを見てたら……」
どこまでが現実でどこからが妄想かを把握できないままリンは答えた。ビデオはまだ映像が流れているが音量が絞られていた。
「可哀想に、さぞ苦しかったろう」
「はい……」
老人はリンを抱き寄せて、汗まみれのスーツに包まれた細い肩をポンポンと叩いた。リンはまるで祖父のような雰囲気の大柄な老人にすがりついてグローブの指で涙を拭った。
本当なら子供のように体全体で誰かにギュッと抱きつきたい気分だった。恐怖からようやく逃れた心細さのためだけではない。先程の執拗な下半身愛撫と、もしかすると敵からの肉体的な陵辱の記憶が、リン自身で気付かない程度にスカートの内側を疼かせてしまっていたのだった。そのため、膝の上に乗りなさいという老人のやや突飛な提案にすんなりと従ってしまった。
「おやおや、せっかくの別嬪が台無しだ」
涙で汚れた顔を老人がお絞りで丁寧に拭いてくれた。そして、口に付けられたグラスの冷たくて甘い中身をリンは残さず飲み干した。
「バスタオルを借りてきてくれ。3枚ほどな」
バスタオルで拭くほど濡らした物はないはずだけど…… とリンは少し疑問に思いながら、腰骨の中の微妙な違和感、そして老人とは言え男の股の上に腰掛けてしまっている事に気付いた。短いスカートの後ろがめくれ上がって、小さなショーツの纏わり付いた尻が老人の腿の上に乗っている。
「ふぁ……っ!」
腰の周りに手を回されてリンは小さく叫んだ。薄いスーツ越しに抱かれる感覚と、そこからの連想のように下腹部に甘い電撃が走ったのだった。心臓がキュッと反応し、背筋をふるふると震わせる。
「痛かったかい?」
「い、いえ……」
「縛られた事を思い出したりしないかね?」
TV画面に目をやり、イヤリング官女の髪の毛のことを思い出しても、今は抱擁の快感の方が勝っていた。腕に力を込めて強く抱き締められても、電撃の代わりに甘い刺激が染み込んできた。
「は……あ……ぁ」
リンはほとんど放心状態で身体の発する熱の事をぼんやりと考えていた。
「タオルです」
白くふわりとした厚手のバスタオルが横から差し入れられた。老人はリンの身体を少し持ち上げ、その下にタオルを差し込んで座らせた。
そこから、今夜の余興の最後のプログラムが始まった。

「う、うあぁああーっ! あ〜っ! あぁ〜っ!」
スカートの中に差し込まれた老人の指がくねくねと別の生き物のように動き、信じられないほどの快感をリンの奥深くへ注ぎ込んでくる。金の愛撫などとは比べ物にならない指技だった。老人の膝の上でリンの身体が痙攣し、暴れ回る。しかし、その場に繋ぎ止められたかのように逃れる事ができない。老人の右手はショーツの内側へ、左手は乳房へと添えられて、それぞれを柔らかく擦り立てているだけなのに、それを撥ね除けて立ち上がる力が出ないのだ。
「ふあぁ〜っ!」
白いロングブーツに包まれた両足を大きくばたつかせ、膝の上から降りようとしても、脚と脚の間が火のついたように熱くドロドロに蕩けて筋肉に力が入らない。下腹部から股間にかけて、腰骨の中が内臓と粘膜だけになってしまったかのように無抵抗で快感を味わい続けている。次々に溢れ出す蜜がバスタオルに染み込み、身体がビクビクと痙攣するたびテーブル上まで液体が飛び散るために足下にもタオルが広げられた。これがあと何分続くにせよ、3枚や4枚ではとても足りないことは明らかだった。
「そんな声を出しては駄目だ」
まるでこれが何かの特訓であるかのように老人がリンに囁きかける。
(こんな声出したくない、出したくないのに……!)
「あっ、あぁ〜ッ! くふあぁ〜〜っ!」
我慢できる、できないなどと考える余裕すらなく、嬌声が勝手に喉の奥から溢れ出る。老人はまるで機械のように、一時も指戯の手を緩めてくれない。2本か3本の、女のように細い指が薄いスーツの皮膜越しに膣粘膜をくちゅくちゅと掻き回しまくる。薄く局部に張り付いたボディスーツは着ていないも同然だった。触って欲しい部分、一番感じる部分、触られたら叫ばずには居られない部分が正確に探り当てられ、リンを最高の快楽にのたうち回らせる。興奮でしこり立った乳首ももう一方の手で弄り回され、電極を押し当てられているような快感が乳房を中心に拡散していく。結果としてリンは上半身の自由さえ快楽責めによって封じられていた。

「先生、そろそろ……」
横から囁きかけられた老人が両手をサッとリンの身体から放すと、リンは一転、声帯から空気が漏れるような声と共に脱力して膝の上から横倒しに倒れた。
「そうだな、そろそろ本格的にやるとするかな」

次へ
2012-08-14

愛玩(8)

ピンクと白の光沢衣装を体液でびしょびしょに汚して、仰け反るようにソファの背に凭れ掛かっている。声を上げる事すらできないリンだが、気を失ってはいなかった。失神する直前まで責められていたものの、絶頂に至るまでのあと一押しが足りず、一度も気をやる事なく指の責めに悶え続けていたのだ。
「いやはや、凄い感度ですな」
「ここまで喜んでもらえるとは思わなかったね」
手足をだらんと投げ出したリンの周りに男達が集まってめいめい勝手に感想を述べる。淫らなドレスを纏った身体に視線を集中させ、今夜の本来の楽しみはまだ始まったばかりだという雰囲気を漂わせている。しかし実のところ始まったばかりなのはリンも同じだった。快感の嵐が過ぎ去った後なのに、身体の内側に熱いものがまだ解消されず残っている。

(スーツのままで…… 転身したままでこんな……)
ゴーマと戦うために作られたはずのスーツを着て、男達に愛撫され、局所を掻き回される快楽に狂わされた。生地の薄い、ボディラインをこれまで以上に強調してしまう今のスーツは、リンが思っていたのとは違う意味での「パーティドレス」だった。この日男達の慰み者になるために作られた衣装だった。びっしょりと汗をかき、ますます肌に吸い付いたスーツの着心地は陵辱の記録を肌に刻み込むかのようで息が荒くなってしまう。
「っう……」
「お?」
呻き声を上げたリンに男の一人が腰をかがめ、開いたまま投げ出した両脚の間に陣取った。
「まだイッてないんだろう。あれ位じゃまだまだ……」
そして遠慮なくスカートの中でショーツを横にずらして、極薄繊維が張り付き割れ目の様子を浮き出させている股間に浅く指を差し入れる。滑らかな皮膜の下の柔らかい粘膜襞が指に応えて動き、指の第二関節あたりまでを包み込む。
「くぅ…… う……!」
恥ずかしさと男達への嫌悪感から気絶した振りをしていたリンだが、下腹部に燻っていた性的欲求の残り火に触れられ、身体全体がびくんと反応した。
「何か使うかね」
ギャラリーから声を掛けられた男は、結構だと答えてリンの横に並んで座った。

青一色の画面になっていたビデオを誰かが操作して早送り画面になると、また別の闘いの場面を再生し出した。怪人・早口旅ガラスが釣り竿でダイレンジャー達を次々に釣り上げて放り投げるシーンが始まり、低い笑い声が起こった。五人目のホウオウレンジャーはスカートの前垂れを釣り針で持ち上げられて、股間を画面に晒したまま空中へ放られたからだ。
「ほうら、やっぱりパンツがあって良かっただろう」
そう言って男は極小生地のショーツをゆっくりと指で引っ張り上げ、薄すぎるボディスーツごと秘唇に食い込ませる。
「あ……っ! ああぁ! くぅぁああーっ!」
小陰唇の粘膜は勿論、その上端にある小さな陰核がショーツの褶曲に挟み込まれて、リンは鋭い快感に悲鳴を上げた。
「や……やめて……くだ……っい……いいひぃ!」
構わず男が力を込めると、キリキリと引っ張られたショーツのクロッチ部分が柔らかい肉の裂け目に沈み込んでいく。ようやく動くようになった手で男の指を振り払おうとするが、あまりの快感で男の腕を軽く掴むのが精一杯だった。だがもしも身体が自由になっていたら、むしろ自分からショーツの下に指を埋めてしまっていたかも知れない。老人の指戯では最後まで逝く事ができなかった性器は何かを咥え込みたいという欠乏感で飢えきっていて、一度こうして刺激を受けると生半可な責め方では収まりがつかなかった。
(パ……パンツが食い込まされてる……! それに…… 挟まれて……!)
胴衣と同じく液体の染み込まない素材の布切れが、愛液のぬめりを纏わり付かせて神経繊維の集中した突起を擦り上げる。男の指がショーツを何度も引っ張っては緩めを繰り返すと、細いクロッチが肉の割れ目の内側に擦り付けられ、突起をグニグニと押し潰してリンを拷問のように悶え叫ばせた。
「ひぃいっ! や、やめぇっ! もうやめてぇ!」
「やめていいのかい? またここでやめたらリンちゃん、欲求不満で狂っちゃうよ?」
男の言う通りだった。今止められたら絶対に我慢できない。自分の手を使ってでも、局部で燃える快楽の火を揉み消さないと狂ってしまう。薄くすべすべとした白いロンググローブの指を蜜壷に差し込み、粘膜襞の様子まで分かる密着スーツ越しに内部を掻き回したらどんなに気持ちいいだろうか。右手でそうして膣内を弄り回し、空いた左手は膨らんだクリトリスを扱き上げ……
一瞬の間にそこまで想像するとますます股間部の興奮は増し、食い込まされたショーツの隙間から粘ついた液を漏らしてしまう。スーツの裏地に強く擦り付けられながら勃起した肉突起の本体部が包皮から顔を出し、それがまたショーツの光沢生地で挟まれて捏ねくり回される。敏感な部位がどのように責められ反応しているか、嫌でも分からされてしまうのだ。スーツを着ていなければ乱暴に扱われた粘膜から出血していたかも知れない、虐待的な肉の悦びが最高潮に達し、リンは愛液を迸らせながら身を引き攣らせた。
「あッ! あぁあ〜〜〜〜っ!!」
がくがくと身体を揺さぶり、下腹部から漏れ出す大量の熱い体液の流れを感じながらリンは背筋を反り返らせ、ソファの背に身体を預けて十数分前と同じ姿勢に戻った。

次へ
2012-08-18

愛玩(9)

「おいおい、早すぎるよ」
ソファの正面に立っていた一人が不満の声を上げた。この男はやや大型のビデオカメラを手に持っていた。
「済まんね、もっとよがらせて寸前で止めてやろうと思ったんだが……」
リンを責めていた男が立ち上がってタオルで手を拭いた。
「ま、仕方ないね。ビデオはどうする?」
「撮るよ、もちろん撮るよ」
金は楽屋から三脚を持ち出してきており、ステージ前に業務用のカメラを据え付けていた。
「今日はそのための会みたいな物だろう」
撮影の邪魔だとでも言うかのように、料理や酒の並んでいたテーブルが部屋の隅へ片付けられた。いつの間にか、室内にはビデオカメラ、照明、その他の機材が揃えられていた。

「ん……ぅ……」
気を失ったままのリンの画を、男が手持ちのビデオカメラで捉えている。短いスカートはめくれ上がり、白いショーツは腿に密着したロングブーツの辺りまでずり下げられて、裏返された白生地と脚との間で粘液が糸を引いている。どう見ても、無理矢理に犯された事後の姿だった。
「衣装の事だが……」
「いつものスーツの方が良いと言うんだろう」
「ハハ、見る側にも、その方が受けがいいだろうと思ってな」
手持ちカメラで撮影を続ける男達の後ろで、金が大きなノートほどの盤状の機械を取り出し、表に配置された幾つものスイッチに目を凝らした。
「こうか?」
スイッチの一つを動かすと、マスクオフ状態だったリンの首から上が淡い光に包まれ、ホウオウレンジャーのマスクが顔を覆った。
「おおっ」
「『解除』…… っと、『通常』……」
リンの全身が光り、転身前の私服姿が一瞬現れた後、拳法着にレザー風のグローブ、ブーツという本来のダイレンジャーのスーツが装着された。その股間部分にはすぐに愛液の滴りが内側から染みたが、その他は転身したての艶やかな張りのあるスーツだった。
「便利なものだな」
「よし、ではそろそろ起きて貰おうか」

操作盤上の、ダイヤル状の部品が太い指でゆっくりと回された。
「う……うあぁっ!」
全身を強く締め上げられる感覚でリンは失神から急速に目覚めさせられた。反射的に、両手で身体表面に巻き付いた物を振り払おうとしたが、身体にはスーツ以外何も付着していなかった。混濁した意識で、スーツが元通りになっていること、次いで、身体にフィットしたスーツがさらに縮んで全身の皮膚をギチギチと締め付けている事に気付いた。
「っは……ぁ! これって……」
機械を操作している男の姿が目に入り、スーツに起きた異変は改造によるものだと言う事がうっすらと理解できた。しかし血流が滞り、呼吸まで苦しくなるほどに縮んだスーツに閉じ込められて、ソファの上で身を丸めることしかできなかった。
「うぁ…… ぁは……っ!」
目覚めたばかりの所からまたすぐに気絶という寸前で、リンはようやく締め付けから解放された。

力の抜けた身体がソファの座面に崩れ落ちる。一瞬の休息もなく各種の責めを繰り返された結果、腰掛けている事すらできず、しっとりと濡れた革の上にうつ伏せになっていた。
「さぁて、リンちゃん、今夜はもう少しだけ頑張って貰うよ」
カメラのセッティングを完了した金がリンを抱え起こし、マスクの中を覗き込みながら言った。
「も……もう…… やめて……」
助けを求めるように部屋を見回すが、やはり虞翻の姿はなかった。
「さっき言ってたね? リンちゃんを主役にビデオを撮りたいって」
ピンチシーンの映像集が流れる前に金が言っていた台詞である。その時にリンも出演したいと言ってはいる。しかしそれは勿論、ダイレンジャーの活躍を追ったドキュメンタリーとか、アクション映画とかを思い浮かべてのことだ。この状況でビデオ撮影と言えばもう、AVかそれに類したものしかあり得ない。
「っ……」
絶対に嫌です、と拒否することはできるのだろうか。いくらスポンサーでも、突然連れてきてこの仕打ちは度を越している。ましてやダイレンジャーへの協力者のはずである。許されることではない。
「リンちゃん、順番に説明しようか」
金が唐突にリンに話しかけた。
「さっき見てもらったビデオみたいな、リンちゃんのピンチシーンというのは一部の人達に特別な人気があってね……」
金の口調に何か不気味なものを感じて、リンは話の続きを待った。
「実は今日集まった人は、みんなそういうビデオが大好きな人ばかりなんだよ。このメンバー以外にも結構な数の人が『新作』のピンチシーンを心待ちにしていてね、ビデオの内容次第では凄い値が付くんだよ……」
新作、という言葉を金は強調して口にした。
「今日はそのために虞翻先生とも交渉して、こんな会を設定して貰ったというわけ」
「!」
虞翻の名前を聞いて、リンは胸の奥に重い衝撃を感じた。ダイレンジャーの活動資金のためとは言え、そんなビデオの撮影を虞翻が許可していたというのだ。それは金のために孫娘を売ったと言う事に等しい。さっき最初に口紅歌姫の映像を見せた時に虞翻は、戦力の強化の参考にするというようなことを言っていたはずだが、その意味は一体……
「いやいや、そんな怖がらなくてもいいんだ」
もう一人、中年の男があやすようにリンに話しかけた。
「君が正義の戦士として大事な体だという事はみんな知ってるさ。ピンチシーンを撮りたいといってもそんな危険な目に遭わせるわけじゃない」
「そう、ちょっとしたお芝居だけでいいんだよ、むしろ、頑張って演技してくれればそれだけのお礼……見返りがある、という言い方のほうがいいかな……」

男達の言いたい事は徐々に分かってきた。彼らが興奮するような映像、それはリンが敵の攻撃を受けて苦しんでいるシーンなのだろうが、それを再現させてビデオに収めたいということらしい。だがリンは一層激しい嫌悪感を覚えた。彼らの今夜のやり方に対してだけではない。リンが苦しむ様を見て喜ぶ男達に資金援助を受け続けていた事に対してである。
様々な形で悪事を働くゴーマと戦う上で、悪意のある人間から身体を触られたり、性的ないたずらを受ける事はある程度覚悟すべき事ではあった。それに対して浅ましい声を上げて感じてしまった事は自分の修養が足りなかったとも言える。しかし最初からそれを目的に、金銭を利用してダイレンジャーに近付いてきた人間がいることは許せない。それに乗った虞翻もである。相手がダイレンジャー全体のスポンサーという立場でなければ蹴散らしてここを出ていくところだ。
「さあ、分かるだろ? みんな君達のために利益関係なく投資してきたんだ。金額にすると……」
男が口にした額はリンにとっては天文学的とも言える数字だった。ここでリンが断るということは、それだけの規模の援助を無視するということになる。従うしかなかった。

次へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。