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2016-01-01

年末年始

あけましておめでとうございます。

年末の間に「泥浴」を完成まで書けるかと思っていたのですが、途中で力尽きてしまいました。あと2シーンほどの話ですので、3が日の間に終わりまで書こうと思います。

大晦日、12月31日は「エアコミケ」と称して、冬コミ3日目に合わせて「閃光戦士プロミネンス」の二次創作小説をpixivで書かせて頂きました。
これはもともと、プロミネンスがニチアサキッズタイムに放映される少年少女向けアニメだったら…… という、作者のまったんさん自身が描かれたイラスト3点から、さらにアニメのストーリーを妄想して小説に仕立て上げた、という少々複雑な経緯でできています。よく考えると戦隊ヒロイン以外でピンチ小説を書くのは全く初めてでしたが、これまでとあまり変わらない感覚で書くことができました。原作の雰囲気も損なわないようにしたつもりですが…… しかしとにかくプロミネンスは一目見た時から大好きなヒロインなので、できればまた何か書きたい、それもR-18指定で、などと思っています。

そうそう、この31日には家で鶏叉焼を作っていたんですが、それをTwitterで見ていたアヒル隊長さんにホウオウレンジャー叉焼化小説を描いて頂くという事件も起きました。
アヒル隊長さんは2015年に突如pixivに登場した実力派の戦隊ヒロピン創作者で要注目ですよ。


この機会に2015年を軽く振り返ってみると、Twitterを本格的に始めたためにそちらに入り浸ってしまったということが大きいですが、毎日向こうで何らかの文章を書くというのは結果としてプラスの方が大きかったと思います。当サイトで掲載した文章量も年間を通してみると去年までと同じくらいになりました。「飼鳥」は薬物快楽調教というシチュエーションを自分の納得のいく密度・分量で書いたのでかなり長くなって、意図的に繰り返しの展開があったりしましたが、完成度もそう悪くないのではないかと思います。
pixivを始めたのも2015年で、人的交流も一気に広がって色々な活動ができた良い年でした。

ブログでは溜まったリクエストを中心にだいたい今まで通りの感じで製作を続けていくつもりですので、今後ともよろしくお願いします。
2016-01-06

泥浴(5)

(あ…… 駄目…… やっちゃった……)
完全には倒れず、膝立ちでスクリーンに凭れ掛かったまま、はっはっと息を弾ませるイエローバスター。その姿勢でも既にスーツの下半分は自分の体温で温もったゼリーで満たされ、粘液の中に座り込んだような感触で腰から下が包まれている。
とても立ち上がれる気がしない。怪人の攻撃が原因とはいえ、あと一歩の頑張りが利かずに講義を途中で中断することになってしまった。
(中止……? でも……)
ざわざわとし始めた観客席の方を振り向く勇気もなく、イエローバスターはゼリー浴のスーツの中で顔をうなだれた。

そのとき唐突に舞台天井に据え付けられたスピーカーから派手な音楽が鳴り始め、客席がどよめいた。
「わ~っはっはっは、見つけたぞイエローバスター! お前を倒してこの博物館を乗っ取ってやる~!」
やや棒読みの口調で、台本にあった企画部長の台詞がスピーカーから響く。
(……そ、そうか! ここでヒーローショーにつなげて……)
進行係がヨーコの異変を見てステージの予定を変更したのだということは分かったが、一旦退場してから舞台裏でスーツの異変について説明して…… と考えていたのが不可能になり、余計に焦りが増す。今の状態でヒーローショーの演技がまともにできる自信はなかった。
とにかく、舞台の床に膝をついた姿勢から身を起こそうとする。舞台の下手の幕がちらりと動き、敵役が登場する準備を整えているのが見えた。
(た、立たないと……!)
震える膝に構わず、気合いと共に勢いを付けて立ち上がると、液体に満たされたブーツの中でグボッという音がして、今のはさすがに外に聞こえたのではないかとヨーコは観客席の反応をそっと伺う。

だが子供達はそれどころではない様子だった。イエローバスターが立ち上がると同時に、身長2メートル以上はある着ぐるみに身を包んだ怪人が舞台袖から現れ、一斉に悲鳴が上がった。
楽屋の床に置かれている時にもちらりと見た着ぐるみは、やはり低予算らしく、メタロイド特有の機械生命体の質感を再現したものではなかった。全体に頭が丸いヘルメットをかぶったように大きく、首から下もほとんど着ぶくれした人間のようで、全体に白い素材で出来ているのも合わせて、これまでに戦ったものの中ではカラテロイドに近い。しかし、それだけにアクションには適していそうだった。格闘技をやっていたという企画部長の言葉が思い出される。
「おう、よーく見てろよ子供たち、今日こそゴーバスターズをやっつけてやるぞ。そしてこの町のエネトロンは我々がいただく」
「あ……現れたわね、ヴァグラス! あなた達の好きにはさせないわ、地球のエネルギーはゴーバスターズが守る!」
台本通りの言葉だけはすらすらと口から出たものの、そのヒーローの台詞には似つかわしくない疲れ切ったポーズでイエローバスターはようやく立っていた。スクリーンに右手を付いて身体を支え、背筋もぴんと伸ばすことができずに身をすくめるような姿勢で怪人と向き合っている。
その原因のほとんどは下半身の不快感のせいだった。スーツの内側で発生したゼリーがほとんど体温で溶けてしまったのか、液状のゼリーはブーツに溜まるどころかスーツの腰から下をすべて満たし、黒いレザーパンツの内側でたぷたぷと波打っていた。スーツの中でお漏らしをしてしまったような、不快どころではない感覚のため、直立姿勢を保っているだけで精一杯の状態である。
(は、早く…… スーツを脱ぎたい……)
せめてブーツを脱いで、溶けたゼリーをスーツ外に流し出せないかと考えながら足踏みするが、ブーツの足裏がヌルヌルとした感覚に苛まれるだけで、状況は全く改善されない。
「何を生意気な~、覚悟しろ!」
イエローバスターの弱りっぷりとは対照的に、着ぐるみの怪人が巨体をものともしない身軽さで飛びかかってきた。
「そらっ!」
怪人の拳がマスクの頬をかすめてぶんと突き出される。
観客席からは分からないかもしれないが、技を受けるイエローバスターからすれば危険を感じるほどの勢いだった。打ち合わせのときに「せっかくだから本気でかかって来てください」と言ってしまったことを後悔する。怪人を演じる部長の方も慣れない舞台で上がってしまっている様子で、アクションの最中に小声で事情を説明する余裕はなさそうだった。
「あ……ぁっ!」
後ろに一歩引いた途端、ブーツの中で足を滑らせたような状態になって、また液体で内股を掻き撫でられる感触が強くなって、思わず腰が砕けて後ろに尻餅をついてしまった。尻の割れ目にゼリーが擦り込まれるような感覚に、座った姿勢のまま背筋を仰け反らせて短く呻いてしまう。
うわーっ、と、子供たちの絶叫に近い悲鳴が客席から上がった。
「負けるなー!」
「がんばれーっ、イエローバスター!」

「ええっ……と……」
ようやくイエローバスターの異状に気付いた怪人役の部長だったが、ショーの出演者としては全くの素人、アドリブでうまく場を収める方法が全く思いつかなかった。倒れた時に打ちどころでも悪かったのか、と床に座り込んだ相手を覗き込むように近付く。
「な……なかなかやるわね!」
痛みを感じているわけではないため、声だけはしっかりと出る。しかし、すぐに起き上がることはできない。深い水溜りか沼に嵌まり込んでしまったかのようで、手足は何とか動いても、なかなか腰を上げられない。
「がんばれー!!」
観客の声に押されるようにして、下半身の不快感をなんとか意識から追い出そうとする。

台本にはこのあたりの筋書きが省略されていて、アクションの流れはすべて2人の立ち回りに任せられていた。本来であれば格闘技経験者の2人が舞台を駆け回りながら技を繰り出し合うはずだったが、出だしからあまりにもテンポが悪すぎた。
「や、やあっ!」
ようやく立ちあがったイエローバスターが、その場で大きく腕を振り回す。本当は蹴り技などを決めたかったが今はどうしようもなかった。
「……ぐわあ~っ!」
一呼吸遅れて、怪人が大げさに仰け反って後ろにどてんと転ぶ。本物のヒーローを出演させたにしては全く迫力はないが、どうやら嘘臭い作り物のショーの演技で行くことになったらしいと察して、それらしく2メートルの巨体で床に寝転がる。
「よくもやってくれたな! 許さん!」
そこから勢いよく跳ね起き、前屈みでふらふらと立っているイエローバスターに再び飛びかかっていく。そして、決して当たらないような距離で、野球のピッチングのような動きで宙を殴りつけるが、イエローバスターの動きはさらに悪くなっていた。
怪人のパンチに合わせて後ろに倒れるでもなく、むしろ後ろから軽く押されたかのように、膝から崩れ落ちてその場に座り込んだ。自分から倒れようと足の力を抜いた瞬間、全身の力が抜けてしまったのだった。
「え……っと、ど、どうだ~っ!」
反撃してくるどころかそのままゆっくり仰向けに倒れてしまうヒロインに、怪人が圧しかかるようにして覆いかぶさる。
(う、宇佐見さん……! 大丈夫ですか……? ちょっとここで中断……)
観客席からの悲鳴や怒声を背中に浴びながら、イエローのマスクの耳元に口を寄せて囁きかける。黄色いサングラス状のゴーグルは外からの視線を完全に遮ってしまうため、中の表情を読み取ることができないのだった。
(は……っ、はい……っ! あ、あの……)
傍から見ているほどには体重をかけられていないが、左肩のあたりを怪人の手でがっしりと掴まれ、レザースーツとゼリー越しのその感覚がヨーコにはたまらなかった。
(大丈夫ですか……!)
気を失いかけているのでは、と思った部長がイエローバスターの両肩に手を掛けて揺さぶろうとする。スーツの中で、まだ体温では溶け切らずに裏地に張り付いているゼリーを胸元や背に塗りたくられて、イエローバスターはマスクの中で喘ぐように叫んでしまう。
(ひっ……! だ、大丈夫です…… やめ……っ!)

そのとき舞台の上手、倒れているイエローバスターからは見えない位置から、予想もしていなかった声が聞こえてきた。
「やいやいやい、そこまでだぞヴァグラス! ゴーバスターズの隠れたリーダー、ウサダ・レタス様が相手だ~っ!」
今日はまったくの別行動で、このイベントにも参加する予定のなかったバティロイド、ウサダがモーター音と共に舞台上に現われた。
「これでもくらえ~っ!」
短いアームで、イエローバスターに圧し掛かっているメタロイドを突き飛ばすような動きを見せる。
「う、うわ~っ! やられたぁー!」
これも当たってはいないが、ようやくショーを終わらせるきっかけができたと部長は後ろ向きに自分から吹き飛び、舞台の下手袖にそのまま引っ込んだ。
「やあみんな、応援ありがとー! おかげでこの街のエネトロンをなんとか守ることができたよ! これからもゴーバスターズを応援してね~!」
ウサダが強引に締めの台詞を述べて、そこにあわてたようにBGMがかぶさり、拍手はごくまばらにしか起こらなかったが、イエローバスターの公演はそこで終了した。

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