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2016-04-13

挿画/製作予定

なんとなんと、ベルダンさんから二度目のイラストを頂いてしまいました!
「逃鳥」の最初のシーンが描かれたものです。スーツの素材感、特に生地や金属パーツの「厚み」を細かく表現することによって、単なる全身タイツではない衣装の存在感を二次元上に再現するテクニックは注目ですよ。
pixivの作品ページはこちら

そして、そのお礼として、次回製作する小説のヒロインはベルダンさんの推しヒロイン、イエローフォー(from 超電子バイオマン)に決定しました。ストーリーのベースとなる話は伝説のヒロピン回、第10話「さよならイエロー」です。反バイオ粒子を放射する「バイオキラー・ガン」で撃たれてから一時行方不明になっていたイエローに、その間何が起こっていたか…… というのがコンセプトになります。当サイトお得意の、変身したままウロウロする話ですね。
「装身具」の(4)あたりと似たシーンが出てきてしまうので、被った場合は「装身具」の方を書き直していってます。

しかしこの「さよならイエロー」、大人の事情によるヒロインの殉職という楽屋話ばかり強調されて、本来もっとも食い付くはずのヒロピンファンやスーツフェチの間ではなぜかあまり取り上げられてこなかった気がします。ピンチの度合い×ピンチシーンの長さ という式で計算される「ヒロピン積」の数値はこれが戦隊史上最高なのではないかとさえ思うのに。
女優さんの失踪のため変身後の姿しか撮れない、しかもキャラクター交代劇としなければいけない状況、そしてじゃあスーツのまま徹底攻撃されて殉職でってなる判断、まさに「あの時代」だからこそ実現した究極のピンチストーリー。この先これを超えるピンチはもう出てこないとは思いますが、特撮では意外と何かの間違いみたいな展開は結構あったりするので、希望?は捨てないでおきたいですね。
2016-04-17

窮鳥(1)

第10話「さよならイエロー」より

イエローフォー・小泉ミカはふらついた足取りで無人の工場地帯を彷徨い歩いていた。黄色のバイオスーツに身を包み、時折横へ倒れそうになる身体を自分で抱き抱えるようにしながら辛うじて歩行を続けている。

「はぁ…… はぁ……っ!」
すでに操業を停止した企業の敷地らしく、延々と続く灰色の倉庫群や巨大な金属のパイプライン、断続的に現れる貯蔵タンクなどからは何の作動音も伝わってこない。街の喧騒や車の走る音さえ聞こえず、剥き出しの機械類を風が吹き抜ける音、そしてイエローフォー自身の足音と呼吸音だけが響いていた。
もう一時間近く、同じような風景の中を歩いていた。よほど大きな工場が集合していたのか、それとも本当に同じ場所を何度も通り過ぎているのか、判断力が極度に低下していて分からない。マスクの頭部に配置されたコンピューターの状態表示部も、スーツの致命的な機能異常や故障を示す赤色の点滅が続いていた。
(は、早く…… みんなに……! このままじゃ、身体がもたない……)

新帝国ギアの兵器、バイオキラーガンで銃撃された直後から、今のような意識の混濁と疲労感の蓄積は始まっていた。銃を手にした敵幹部・メイスンの言葉によれば、反バイオ粒子を照射することによりバイオマンの力を失わせるのがこの兵器の原理だということだった。しかし今のこの状態は明らかに、バイオマンとしてのエネルギーではなく生命そのものに深刻なダメージが及んでいるとしか思えなかった。
先程バイオキラーガンに撃たれた胸や脇腹、大腿部といった部分には、反バイオ粒子の光弾がスーツや身体のその部分に浸みるように打ち込まれた時の感触が残っている。深い火傷のように、ジンジンと痺れる感覚が周辺の皮膚や筋組織へも徐々に広がっていく。
そしてそれとは別に、サイゴーンの念力で空中から地面へ叩き付けられた時の痛みがなかなか消えずに体のあちこちに残っているのだった。腕や膝周辺の打撲傷、いつもなら徐々に消えていくはずの痛みが、恐らくは身体や細胞の色々な機能が低下しているためにずっと引いていかない。荒い呼吸を繰り返し、必死で息を吸っているのに、肺に空気は入ってもそこから酸素が取り込まれていかないように感じる。そうした息苦しさはあるが、もし変身を解除すればその時の脱力感で完全に気を失ってしまいそうな気がして、あえてバイオスーツを纏ったままの状態を維持していた。

「みんなに……みんなに伝えなきゃ……! 反バイオ粒子は……」
痛い、苦しいといった言葉が声に出そうになるのを避けようと、イエローフォーは必死で仲間へ伝えようとする台詞を口の中で繰り返す。敵兵器の弱点に気付いたのは実際に撃たれた自分だけのはずだった。襲撃後の混乱のためにそれを話す間もなく、気付けばここに迷い込んでしまったまま元来た方角さえ分からないというのは全く最悪の事態だった。

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2016-04-30

窮鳥(2)

一向に変わらない景色に耐えきれなくなり、建物の壁に沿って進んでいたのを外れて、日の当たる見通しのいい場所を探しながらよろめき歩く。
廃材が山のように積み上げられた一角が目に入り、あのあたりで一度腰を下ろそうとやや歩みを速めた時、舗装の代わりに足元に敷き詰められていた鉄板の継ぎ目にブーツの爪先が引っ掛かり、イエローフォーは前方へ飛び出すように転倒した。
「うぅあっ!」
長らく車両の通り道に敷かれ、凹凸の反り返りがついた厚い金属板の上に身体が投げ出され、銅鑼かシンバルの様な音が辺りにしばらく響いた。
「ううっ…… う……!」
赤黒く錆びついた鉄の上で、ジャリッ、という音を立てて身体を丸める。日光に照らされていた鉄板の熱がスーツ越しに伝わってきて、胸や脇腹に心地良いほどの温もりが感じられてしまう。疲労感からこのまま眠り込んでしまいたいという気持ちさえ起こるが、この状況でそれはあまりにも危険だった。
やっとの思いで立ち上がり、ふらふらと十数メートルを進んだ後、廃材の山のふもとに並べられた大きな古タイヤの上にまた倒れ込んだ。


全身が弛緩し、ほとんど仰け反ったような体勢で廃材を背に凭れ掛かっている。荒い呼吸に胸を上下させ、シート状の電子回路とバイオマンのエンブレムに日光が反射して煌めいている。
しばらくそのまま目を閉じていても、疲労感と身体の痛みはなかなか楽にならなかった。体内のバイオ粒子と反バイオ粒子が互いにぶつかり合い、二種類の血液が混ざり合わされているような感覚が続く。筋肉や内臓の疼痛に感覚を集中すると、黄色と灰色の混ざり合ったマーブル模様が見えてくるようだった。
いくら待っても体力が回復しない。酸素が足りないような苦しさも全く同じだ。イエローフォーは白いレザーグローブに包まれた手の平でマスク頭部を叩き、その手をまた身体の横へ落とす。
(通信がきかない…… 一体ここはどこなの? みんなにこの場所を知らせるには……)

マスクに挿し込む日差しをぼんやりと眺めている内に、ガシャン、ガシャンという金属の擦れ合うような音が遠くから聞こえ始めた。
工場の敷地に居たせいか、しばらくはその音が意味するところに気付かなかった。しかし徐々に近付いてくる金属音は、工場内の機械でもなければバイオロボや仲間たちのものでもなく、もっと異様な響きを帯びていた。
本能的に危険を感じて、イエローフォーは仰向けの体勢から身を起こした。
広場のようになった廃材置き場に、十数体の機械化戦闘員、メカクローン達が横一列に並んで土煙を上げながら迫ってきていた。
「あ……っ!」
この1時間誰にも発見されないできたために考えもしなかった戦闘員との遭遇。イエローフォーは愕然として敵を見回す。
標的のイエローフォーから離れた場所に一事停止し、能面のような顔に開いた目を光らせながら、無言で一斉に戦闘開始のポーズを取るメカクローン達。しかし敵側の戦力は今のところそれだけだった。確証はないが、追加の戦闘員や獣士たちの応援が来る気配は感じ取れなかった。
「い……いいわ! やってやるわ!」
敵を前にすると、尽きかけた力がなぜか戻ってくるようだった。反バイオ粒子に冒された身体の苦しさを自分自身の力が上回って、今なら必ず勝てるという気がした。

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