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2016-05-01

窮鳥(3)

座り込んでいた廃タイヤから跳ね起き、それまでのよろよろとした足取りとは違う俊敏な動きでメカクローン達の群れに飛びかかっていく。
「たぁっ!」
数メートルの距離を一気に縮め、その勢いのまま最初のメカクローンの上半身に真っ直ぐに突きを入れる。金属製のボディの内部まで打撃が伝わったのが拳に感じられ、相手が吹き飛ぶように倒れるのを確認してイエローフォーはすかさず背後を振り向く。
機先を制された回りのメカクローン達がようやく動き出し、武器を振り上げて襲ってくるが、そちらへ一歩踏み込み、中段へ蹴り出すと、その武器を振るう間もなく2体目がその場に崩れた。さらに横からの攻撃を間一髪でかわし、相手の腕を取って地面に転がし背中を一撃する。
(いけるわ……!)
さすがにいつもの調子とまではいかない。全身にまだ気だるさや疲労感が残っている。しかしこの数なら今の自分一人でも凌げるはずだった。
「バイオソード!」
腰の剣を引き抜き、向かってくる敵の攻撃を押し切るように剣を叩き付けていく。ほとんど力任せのようだったが、それで十分に周囲の敵を圧倒していた。

1分もしない内に5体のメカクローンを倒し、足元に転がったその身体につまづかない様に移動して、残りの敵から距離を取る。
「はぁ…… はぁ……っ」
やはり疲労の度合いは強かった。背中を汗が流れ落ちていくのが分かる。そして一度動きを止めると、機械戦闘員を殴りつけた手足の先にじんじんとした痛みが残っているのが感じられ始めた。気力体力でカバーしていても、スーツの機能が低下しているのは明らかだった。
当然ながら敵に疲労の色はない。こちらを威嚇するようにガシャンガシャンと音を立てて武器を振りかざしてみせる。
だがそれに構わず、イエローフォーは剣を仕舞い、改めていつもの構えを取る。あと10体余り。できれば一気に片付けてしまいたかった。
(一気に……!)
エネルギーの消耗を避けて戦うべきなのかも知れない。しかし、最後の力でも構わない、と考える。派手に戦った方が仲間も駆けつけてくれる可能性もある。
胸の前で手を交差させてマスクの額に装備された発光装置を起動し、そこから最高出力のエネルギーを放射させる。
「イエローフォー! ストロボ・フラッシュ!」
イエローフォーの前方に黄色のフラッシュが閃き、集団で襲い掛かる体勢になっていたメカクローンの群れを照らす。光を浴びた戦闘員達がみな雷に打たれたように仰け反り、しばらくは倒れることなくびりびりとその場で痙攣し、細かな火花を散らしながら動かなくなっていく。

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2016-05-03

窮鳥(4)

「やったわ!」
思わず胸の前で拳を握りしめたイエローフォーだったが、次の瞬間、今度は自分が電撃に貫かれたような痛みに襲われ、握っていた手を胸に当ててよろめいた。急速に増していく痛みは、どうやら心臓とその周辺から発していた。
(心臓……!? ま、まずい……!)
バイオ粒子のエネルギーを使い切ってしまうのでは、という不安はほぼ的中していた。マスクやスーツのの電子頭脳で制御しているとはいえ、そのコントロールも今はイエローフォーの安全を保つことが出来ていなかった。心臓や循環器系に過剰な負担がかかり、悲鳴を上げているのが感じられる。
「あ……っう……!」
胸に右手を当てたまま土の地面に片膝を付いてしまう。それとほぼ同時に、心臓だけではなく胸の各所、そして脇腹や太腿から滲み出すような鈍痛が沸き起こってくる。どれも、バイオキラーガンで撃たれたまさにその場所だった。
「っぐぁあ……っ!」
絞り出すような呻き声が口から出てしまう。痛みがぶり返したというのとは全く違った。打ち込まれた反バイオ粒子の作用が徐々に広がっていく感覚だった。身体のがあの黄色と灰色のマーブル模様に染め上げられ、有害なエネルギーに冒されてゆく。
心臓部の痛みだけは先程の一瞬だけで収まり、しかし左胸全体がドクンドクンと波打つような異常な鼓動が続いている。血流に乗って反バイオ粒子の毒が全身に回っていく、そんな幻が見えるようだった。あっという間に体幹から四肢、そして首から上に不快な感覚が広がり、それが脳まで辿り着いたと思った瞬間、脳内に何か熱いものが注ぎ込まれたように感じて、イエローフォーは頭を抱えて地面に倒れ込んだ。

「ああぁあっ! あぁっ!」
身体を丸めてその場で横倒しに転がったイエローフォーは、フルフェイスマスクで覆われた自分の頭を抱え込み、折り曲げた両脚を内股で激しく擦り合わせて、じたばたと地面をもがいていた。まるで頭でも打ったように、もしくは頭皮が痒いのを掻こうとしているかのように、グローブの掌でマスクの側頭部から後頭部のあたりをごしごしと撫で回し、押さえ付けて、その内部の異変から発生する苦しみに支配されている。そして丸めた身体をまた反り返らせたかと思うと、何度も寝返りをうつように身体を反転させ、全身に行きわたる苦痛と不快感に小さな叫びを上げる。
「くぅあ……ぁっ……!」
意識の上ではほとんど脳と一体化している電子頭脳が異常な信号を発していた。その影響を受けるイエローフォー自身の身体にも、新たな異変が起き始めていた。
「身体が……おかしい……! バイオスーツも……っ!」

全身に微弱な電気が流されるような痺れに纏い付かれ、頭だけでなく全身を掻き毟りたくなる。意識がぼんやりとし、極度の疲労感はずっと続いているのに、皮膚の感覚だけが異常に鋭敏になって、身体を少しでも動かすたび密着したバイオスーツに体表面を撫で上げられる感触で背筋が強張ってしまう。
「う……うっ……! と、とにかく……!」
せっかくメカクローン達の襲撃をやり過ごしたというのに、これでは仲間を探して移動することすらできない。離れた場所にばらばらと横たわり、うっすらと煙を上げているメカクローン達が再び動き出す気配はなさそうだったが、いつ援軍が来るか分からない今、この状態でここに留まるのは危険だった。
痛みと感覚の異常は収まらないもののそれ以上には酷くなってこないことを確認し、イエローフォーはやっとの思いで上半身を起こす。しかし完全に立ち上がることはできず、すぐに両手を前へ着いてしまった。
「はぁ、あ……っ」
とにかく身を隠せる所へ、とイエローフォーはやむなく四つん這いの姿勢で移動を開始する。廃材の山とメカクローンの残骸から離れ、先程の鉄板で舗装された一帯を通り過ぎて元来た建物の方へ戻ろうとする。数十メートルの距離だったが、今の身体ではそれだけの距離でも一苦労だった。

さっきまでやや翳っていた太陽がまた顔を出し、イエローフォーの背中を強く照り付けて地面に濃い影を落とす。移動が鉄板の上に差しかかると、日光の熱を蓄積した鉄板の熱さが、往路よりずっと強く感じられた。スーツの機能が低下していることは明らかだった。震える膝で一歩進むたびにゴオン、ゴオンと熱い鉄板が鈍く響く。背中に受ける太陽の熱もスーツを通してはっきりと感じられる。もしもここで力尽きたら鉄板の上で蒸し焼きになってしまう、などと考えながら、ひたすらに建物の陰を目指した。

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2016-05-03

窮鳥(5)

「うっ……!」
建物までもう少しという辺りで、イエローフォーは発作のように背筋を引き攣らせた。頭の中が焼け付くような感覚がここへきて急に蘇ってきた。片手を頭の方へ伸ばそうとしたため上半身が崩れ、マスクの額を地面へ押し付けてようやく身体を支える。
身体に感じていた熱も、どうやら太陽のせいだけではなく、身体の内側から発してくるものがあるようだった。熱気、悪寒、そしてバイオキラーガンで撃たれた場所から広がる疼痛。皮膚からどんどん身体の深い部分へと浸み込んでいくような不快感に、イエローフォーはたまらずその場で身を丸める。

「く……うぅ……! ふぅんっ……!」
有害なエネルギーの波動に身体の内側が掻き回されている。これまでで一番の強烈な浸食感だった。始めに撃たれた胸もそれを感じているが、今もっとも辛いのは下腹部の内臓がジクジクとした熱に焼かれている感覚だった。反バイオ粒子がそのあたりに集合しているように思って、うずくまったままで自分の腹を押さえる。
(うぅっ、お腹…… 内臓に……反バイオ粒子が……!)
バイオスーツのベルトに取り付けられた幅広のバックルに阻まれて、一番疼く部分に到達することができない。片手でバックルを掴み、しかし腰回りにぴったりと食い込んで外すことのできないそれを懸命にガチャガチャと動かしながら、もう一方の手で地面を叩いて苦し気に呻く。
濃縮された苦痛の箇所は、ベルトの真下よりももう少し股の近く、骨盤の内部あたりだった。胃や腸ではない。この異常な感覚は、子宮やその他の……
そこに思い至ると、内臓由来の苦しさが急激に増した気がした。イエローフォーはベルトの下、そして股間部までを手の平で押さえつけながら苦痛の発作に身を強張らせた。
ビクン、という身体全体の痙攣と共に、内臓、おそらくは子宮とその周辺の臓器が大きく震えた。股の間に少量の熱い液体が流れ出したのを感じて、まさか血が…… とイエローフォーはそこに押し当てていた右手を恐る恐る離して、グローブの掌をマスクの目の前へかざす。
「……!」
掌を汚していたのは血ではなく、透明で粘ついた液体だった。厚いグローブの指の間で糸を引き、膿が混じっているわけでもなく、純粋な自分の分泌液がスーツから滲み出すほど漏れ出したのだという事を理解する。身体の異変がそんな所にまで及んでいることに訳の分からない恐怖を感じ、イエローフォーはスーツに染みを付けているその場所に改めて手を伸ばした。

指先の感覚を鈍らせるグローブ越しでも、ヌルヌルとした質感の粘液が股から太腿にかけてスーツ表面を濡らしているのが感じ取れた。外側からは水の染み込まない、基本的には撥水性を持ったバイオスーツのイエローの生地は、見た目だけではそれがどれほど濡れているのかが明らかでない。股の間、性器の口に指先で触れ、内側からまだ徐々に体液が滲み出していることが分かると同時に、そこが閉じ合わされずにひくひくと柔らかい肉の唇を震わせてしまっていることにも気付いた。
(ど、どうして……!)
性器の周辺も含めて、身体のあちこちが痺れて正常な感覚を失っていたせいで今までそれを自覚できなかった。それでいて、触れられた陰唇の感覚はひどく過敏になっており、グローブの指先がスーツ越しにその外周部をつっと撫でただけでも思わず腰がぴくりと動いた。
「んっ……!」
マスクの中で顔が紅潮していくのが自分で分かった。それは単に身体の生理的な反応ではなく、下半身の異変の意味に気が付いてしまったからでもあった。
(これも……これも反バイオ粒子の影響だっていうの……?)
うつ伏せに這うような体勢だったのを、左腕が下になるよう横へ転がって、右手が自由に動かせるようにした。
陰唇の合わせ目にそっと指を這わせ、指の腹にじゅくりとした液体の感覚が伝わってくると、ほとんど無意識のうちに中指を折り曲げ、指の第一関節から先を裂け目の中へゆっくりと埋める。
「んううぅっ……!」
子宮からずっと繋がって熱く疼いていた膣が、この日初めて直接的な物理的刺激を受けて激しく反応した。膣壁がきゅっと収縮し、愛液を外へ少し溢れさせたが、指先を強く締め付けることはなかった。
「う……っく……!」
ほとんど苦痛だけで満たされていた身体の芯に、かすかな快感の種火が生じた。身体の奥で一瞬だけ閃いたそれを、もっと強く、はっきり感じたいと、思わず背筋が丸まり、腰が何かを求めるように動いてしまう。

バイオスーツは薄くよく伸びる素材で構成されており、特に脚の内側や股間の付近には強化スーツ特有の内部メカや配線も施されていないため、完全にタイツ一枚だけが性器をはじめとする局部を覆っている状態だった。ちょうどそこは身体の正中線に沿って生地が繋ぎ合わされており、イエローのハイレグカットのレオタードを着たような配色デザインとも相まって局部の状態を際立たせてしまっている。
反バイオ粒子を浴び、エネルギーを失ったスーツはいつもよりやや張りが無くなり、濡れた部分が性器に張り付いている。イエローフォーが中指をさらにぐっと折り曲げても、ほとんど抵抗なくスーツの生地と共に指を内部へ押し入れることができた。
(は、入っ……た……)
黄色いスーツの裏地が秘所の粘膜にじかに押し当てられている。スーツ本体の繊維素材と比べるとずっと分厚い人工皮革のグローブを嵌めた手には細かな感触が伝わってこないが、粘膜の方はこれまで経験したことがないほど感覚が敏感になっていた。熱く充血して熔けたようになっている膣内には侵入物の温度が心地良い冷たさに感じられ、より深くに指を挿し入れ、奥から湧き出してくる液体を掻き出す動作を開始したくなってしまう。
「あ……ふぅっ! うぅううんっ!」
だがそれを実行しようとして、予想以上の鋭い感覚にイエローフォーは小さく悲鳴を上げた。
指の位置を少しずらすたびにグローブの指先の形状、生地の継ぎ目までが事細かに感じ取れるほど粘膜の感度が高まっている。ただ指を挿入しているのとは全く違う。バイオスーツの表面構造を身体の内側で感知している。変身状態で自分の性器を触っているのだということを強く意識させて興奮の度合いがますます上昇していく。
こんなことをしている場合じゃないのに、という自制の声が心の中で小さく響いても、今現在の快感を手放すことがどうしてもできず、身体の異変を確認するだけだったはずの行動が本格的に自慰行為へと近付いていった。

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2016-05-05

窮鳥(6)

「あぁっ、あっ、だめ……っ!」
指の動きを止めたいのか刺激を強めたいのか、裂け目に押し込まれている中指を含めて右手をぐっと握りしめると、ジュウッと音を立ててスーツの内側の液体が絞り出されるように漏れ出てくる。腰が引けて脚がびくんと震え、地面に擦り付けられて軽く砂埃を立てた。
「あっ……!」
ガクンと首を軽く仰け反らせ、左腕を下に倒れていた身体が仰向けになる。左手を右手首のあたりに添えるが、指の活動は止まることなく、局部の前面を揉みほぐすような動きを続けた。
(あぁっ……! き、気持ちいい……!)
ざらついた地面を背に、太陽光を正面から浴びながらイエローフォーは右手と、そして腰をぐりぐりと動かして性器を刺激していた。時おり背が反り返り、頭と脚だけで身体を支えるような体勢に一瞬なった後、ばたりと身体を投げ出して背中を地面に擦り付ける。マスクの中に柔らかく挿し込む光に照らされながら、目をなかば閉じ、浅い呼吸を繰り返して、酔ったように自慰の快感に浸っている。
左の手はいつの間にか胸へと延びていた。スーツの右胸、バイオスーツ外装部の電子回路をなぞり、配線間に浮き出た乳首の尖りを指先で探り当てる。二本の指で柔らかい突起を転がし、擦るように玩んで、乳房の中に発生してくる甘い感覚に背筋をくねらせて感じ入る。
「はぁあ……っ! こ、こんな事……」
ここでこんな行為に夢中になっているわけにはいかない。しかしこの手を止めて一体どうすればいいというのか、この全身の苦痛から逃れる方法が他にあるのか……と、まとまらない思考、朦朧とした意識の中で、熱い地面の上に横たわったイエローフォーはただひたすら目の前の快感に浸り続けた。


反バイオ粒子の苦痛を忘れさせるほどの身体の興奮、快楽の時間は唐突に中断された。ガシャン、ガシャンというあの耳障りな音がまた響き、イエローフォーを現実の危機のもとに引き戻した。
なかば夢の中に居たところを急に叩き起こされたようだった。全身の浮遊するような感覚が解け、背中やマスクの後頭部を乾いた砂地に着けて横たわっている重力の感覚が蘇ってくる。
「あ……ぁっ……!」
イエローフォーは地面に縛り付けられたように重い身体をぎしりと動かして、乾いた唇を震わせる。金属音の正体は、目で確かめるまでもなくメカクローン兵の群れが立てる音だった。
「そ、そんな……」
身を隠すこともせず同じ場所に留まれば見つかってしまうかも知れない、と、さっきそう考えたはずだった。なのに今こうして、気付けば思い描いた通りの最悪の事態が実現してしまっている。しかも、ただ倒れていたというのではなく……
視線を遮るものすらない太陽の真下で、まるで周囲に見せ付けるように黄色いバイオスーツの姿で自慰を続けながら敵の到着を待ち構えてしまった。
(……っ!)
気付けば、両手がまだ股間や胸に添えられたまま身体の前面に載せられていた。
勢いよく横転して起き上がろうとしたが、完全に全身の力が抜けてしまっている。ただ重いだけではなく、まるで身体から骨が消えてしまったかのように、両腕を下ろして身体を横に転がすだけでもナマコのように緩慢な動作でしか動けなかった。広場の向こう側から行進してくるメカクローンの集団を視線の端で捕え、砂袋のような重さの五体をうつ伏せの姿勢に直すが、そこから腕や膝を立てて身体を支えるだけでもやっとの思いだった。

「に、逃げなきゃ……!」
メカクローン達はイエローフォーを見つけても行進の速度を上げず、威圧するように等速を維持しながら近付いてきた。今の状態では戦えない、逃げるしかない、と思うが、首を地面から大きく持ち上げるだけで脳へ流れる血液が不足して眩暈が起こった。
こんな身体では十数体の戦闘員から逃げられる訳がないことも分かっていた。しかし恐怖にかられて、敵の群れから少しでも遠ざかろうと肘と膝で這うように倉庫棟の壁を目指して進む。弄り回していた股間部のスーツがまだ体液で濡れているのもそのままに、ただ手足を動かした。

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2016-05-07

窮鳥(7)

「は……っ! はぁ……っ!」
背後から近づいてくるガシャンガシャンという音に急き立てられて、イエローフォーは必死で膝と肘の歩行を続ける。後ろを振り返らないように、ただひたすら建物の白い壁面に向かって這うが、その努力も長くは続かなかった。
「あぁああああっ!!」
急速に接近してきた一体のメカクローンにがっしりと首を後ろから掴まれ、直後にいくつもの影が周りを取り囲んで太陽光を遮った。
イエローフォーが恐怖の悲鳴と同時に困惑を覚えたのは、掴まれた首の感覚に対してだった。機械化兵の手で力任せに掴まれたはずなのに、痛みだけでなくどこかくすぐったいような感覚が混じっていた。思わず背筋をすくめ、びりびりとした軽い電気が後頭部から腰のあたりまで駆け抜けていくのを感じる。
「あっ!」
横に立ったもう一体のメカクローンから右肩を殴りつけられた時にも同じ感覚の混乱が生じた。じいんと肩口に響く疼痛。首から手が離されたため、肩を押さえその場にうずくまり、身体を波打たせてしまいそうな感覚をこらえる。

身体の内側から異常な熱気が湧き上がってくる。内臓が勝手に動き出すような抑えがたい興奮。敵から逃げることに必死で意識に上っていなかっただけで、反バイオ粒子による肉体の発情は今も続いていた。身体をよじると下腹部から水音が響いたような気がして、また少量の愛液が溢れ出してスーツの内側を股に張り付かせた。
(い……嫌……っ!)
まさかこんな所でまで、と顔を紅潮させてイエローフォーは身体の異変に抵抗しようとするが、次の瞬間真後ろからバシンと尻を蹴り上げられて絶叫に近い悲鳴を上げた。
「うぅああああぁっ!!」
腰骨の中の子宮に響き渡った刺激にイエローフォーは仰け反った。局部の括約筋がきゅっと収縮して、熱いものがスーツの外にまで漏れ出たのがすぐに分かった。
胎児のように身を丸め、首筋だけは軽く仰け反らせて、どうしようもない性感の暴走に悶える。無表情な仮面の戦闘員達に取り囲まれ、蹴られ、踏みつけられて、そのたびに全身へ響く快感に掠れた悲鳴を漏らす。
余りにも屈辱的な多対一の集団攻撃。しかしイエローフォーが感じているのは単なる屈辱だけではなかった。
「おっ、おぉあっ……っ! あぁあ……」
黄色いスーツが土埃で汚されていく。それと同時に浸み込んでくるような快感にイエローフォーの意識は遠のいていく。
(こ、こんな…… 最後が、こんな……)

攻撃が一時的に止み、身体の力を抜いた瞬間、腹の側から大きく蹴飛ばされて、イエローフォーは一瞬空中を舞って倉庫の壁に衝突した。
「ごぉ……っ!」
灰色のコンクリートに背中と後頭部を打ち付け、ちょうど壁を背に座り込んだ姿勢になる。はあはあと荒い息を吐きながら自分を取り囲んだメカクローン達を力なく見回す。
(みんなごめん…… これで、終わり……みたいだわ……)
ぐったりと首を横に傾けようとしたとき、壁面から突き出た何かにマスクがかちりと当たる感触があった。
(……?)
コンクリートの壁面とは違うものがマスクに触れたようだった。もたれている壁のすぐ近くに金属製のドアがあり、それが外側へわずかに開いた状態になっていることに今になって気が付いた。
(開いてる……!?)
メカクローン達に悟られないようにマスクの中で視線を移動させる。扉が確かに数センチ開き、そしてドアノブも錆びついていないことを確認する。敵に数秒間の隙があれば、建物の中へ飛び込めそうだった。
身体が興奮状態になっているせいか、もう一度最後のエネルギーを振り絞ることができそうな気がした。迷う暇もなく、イエローフォーは両手の拳をぐっと握りしめ、腕に力を込めると胸の前で交差させた。
「ストロボ・フラッシュ!」
さっきよりはずっと光量は少なかったが、マスクの額から放たれた閃光が至近距離のメカクローン達を直撃する。最も手前に居た一体がそのまま昏倒したのを見て、イエローフォーはひどい眩暈が襲ってくるのに構わずドアの方へにじり寄った。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・

広いがらんとした倉庫の中へイエローフォーは身体をずるりと忍び込ませた。床からドアノブに手を伸ばして金属製の扉に取り付けられた鍵を閉め、再び激しく疼きだした身体を両腕で抱いて崩れ折れた。
扉が閉まると、何もない暗い室内が冷たく乾燥した空気と静寂に満たされる。
そこからはもう這うこともできなかったが、そのまま震えながら耳を凝らしていても戦闘員達が壁や扉を叩く気配は無かった。
「はぁ……っ! こ、これで…… ここなら……しばらく……」
そして、熱くなった下腹部に手を伸ばし、スーツにできた濃い染みの中心に指をそろそろと近づけた。

(完)
2016-05-08

「窮鳥」完結

「窮鳥」、当サイトとしては短期間で完結しました。(5)あたりがあっさりし過ぎたので(このあと続きをするシーンを入れようと思ってて入れられなかったので)、5月下旬くらいまで加筆して完成版をpixivに載せます。今作は84年放映という、これまでとりあげてこなかったヒロピン最盛期の作品を扱ったので、できるだけ目につく場所に載せて年上のファンの感想が聞きたいですね。

次に書くものは色々迷ってまして、サイトで頂いたリクエスト以外に描き始めている他に書き始めたものや約束したものがあるので、別記事を作ってそこで考えようと思います。
2016-05-21

愛鳥週間とその他の活動報告

毎年5月10日から16日までの1週間は「愛鳥週間」です。

そういう期間があるという事だけはなんとなく知っていましたが、Twitterなどで話題になって、鳥籠として何かやった方がいいかなと思ったのは今年初めてでした。しかもそういうことを考え始めたのが10日になってからだったので、結局前から少しずつ書いていた、「ホウオウレンジャーがキバーマシンで事故を起こして警察の取り調べを受けるSS」を進めただけに終わってしまいました。
HTML形式でアップロードして、Twitterで告知していました。ファイルは こちら です。
タイトルは始め「窮鳥」としていましたが、イエローフォーのSSにそれを正式採用したので、「衝突」と変更しました。「バードストライク」に引っ掛けた漢字タイトルにしたかったのですが、うまい訳語がなくて……

ちなみにこのSS、「逃鳥」の分岐エピソードとして考えていたものです。最終的には逃鳥と統合することになるかも知れませんが、いったん今の形のまま完成させます。
そしてその「逃鳥」に、以前お知らせしたようにベルダンさんからのイラストを頂きましたので小説中に挿入しました。(1)のシーンですね。小説に合わせてマスクオンの差分が表示されるようにしましたが、画像リンクからはpixivページでマスクオフ・マスク透けのバージョンが見れますよ。
加筆すると言ってなかなか進んでいませんでしたが、これを機にやっと再開しました。

5月20日には「窮鳥」をpixivに掲載しました。タイトルは「イエロー、さよならの前に」としました。おかげ様で、男性向けR-18デイリーランキングで14位を頂きました。
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