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2017-03-26

嚥下(3)

「あっ! あぁ~っ! ううああぁ~っ!」
完全な闇に閉ざされたドーラブーガラナンの消化管の中で、メイは四方八方から身体を揉み込み、押し潰しにかかってくる粘膜の壁に翻弄されていた。
腕も脚も、身体中のどこもかしこもが、ヌルヌルとした粘液を纏った内臓壁に前後左右から隙間なく密着され、グローブに包まれた指の一本一本さえそうした肉のマッサージを受けているように感じられた。すべすべとした滑らかなスーツ表面を延々と舐め転がされ、一瞬の休みもなく襲ってくる異様な皮膚感覚にメイは声を上げ続ける。
辛うじて肉の責めから逃れられているのは、硬質なマスクに包まれた頭や、ブーツの中の足元だけで、それもこんな事を続けられていればいずれ脱がされてしまいそうだった。ニチャッ、ジュルルという粘音がひっきりなしに鳴り響き、自分の呼吸音や喘ぎ声さえ掻き消してしまうほどの音がマスクを満たしている。

そのまま数分以上は揉まれ続けるうち、体力と共に体温を奪っていくようだった冷たい肉と粘液が、だんだんと温まり始めた。
長時間同じ場所に留まり続けていたため、周りの肉がメイの身体で温まりきったのかと最初思ったが、やがてそれだけでは説明が付かないほどの生温かさ、熱さがスーツの生地越しに感じられ始めた。肉壁の動きはそれまでと変わりないが、粘液に関しては心なしか分泌されてくる量が増し、そして粘り気の少ないさらさらとした物に変わったような気がする。
(し、消化液……!?)
食道をゆっくりと滑り落ち続けた身体は、もう胃袋にまで到達しているに違いなかった。メイはスーツが溶かされ生身の体が消化されていく恐怖に震える。先に呑まれた仲間たちの身体やスーツが周囲に残っていないことから、ドーラブーガラナンに呑まれた者は跡形もなく消化されてしまうのだとしか考えられなかった。
「あ…… 熱い……っ!」
ぐちゅぐちゅと音を立ててスーツ越しの身体を咀嚼する内臓の壁がますます熱を持ってくる。メイは腐食性の液体に晒されたスーツがぶくぶくと泡を立てて消化されていくところを想像するが、高まってくる熱気はそうした種類のものではなさそうだった。
指の拘束が緩まったような気がするグローブの手を握り締めると、自分の汗でグローブの中がぬるついた感触はあるが、外の液体に接している部分が溶けている様子はない。腕や背中のスーツ生地も同じだった。いくら待っても、消化液が肌に触れて強い痛みを発するようなことも起こらなかった。

酸欠と合わせて、スーツの中でのぼせてしまいそうな熱を全身に感じる。だが、それは全く苦痛ではなく、むしろ消化管壁からの手荒な扱いの痛みを和らげてくれるもののように思えた。
発熱が起きているのはスーツの外側ではなく、メイの身体の方だった。先程から分泌され始めた粘液の影響で、メイの全身が異常な興奮を帯び始めていた。液体をほとんど通さないはずのスーツだが、ドーラブーガラナンの濃厚な体液を延々と揉み込まれ、獲物を「消化」するに必要な成分はすでにメイの素肌まで塗りこめられていた。
「うあ……っ! っああぁ……ぁ!」
蠕動する肉壁によるマッサージは今や、食物を柔らかくするための咀嚼ではなく、栄養を吸収するための動作に意味が変わっていた。相変わらず手足は肉壁に巻き込まれて自由を奪われたまま、消化粘液の纏わりついたスーツの内側で全身を揉みほぐされて、気の遠くなりそうな快感と共に身体のエネルギーが奪われていく。
「は……っ! はぁあ……! あぁ……」
身体の表面ではなく、内側から消化され、栄養を吸い出されていくような感覚。その快感に抗おうとする精神力を真っ先に蕩かされて、メイはもう暴れることも叫ぶこともせず肉壁の動きに身を委ねていた。

何も見えない暗闇の、どことも分からない方向から、4人の仲間たちが同じ消化の快楽に浸されて低く呻く声が聞こえるような気がいた。
(あ…… あぁぁ…… 気持ち…… いい……)
終わりのない、長く深い快感の中で、メイの意識は次第に闇に消えていった。

(完)
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