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2018-07-15

迷鳥(9)

ジンジンと痛み続ける、紫色のハートマークに変化した傷のうち、メガイエローの目から直接見える位置にある左肩に付けられたものを、1人がそっと指先で触れる。
「うっ!」
大きく裂けた「傷口」に訪れた感覚は、まるで剥き出しの肉か粘膜にじかに触られた時のようで、思わず目をつぶり、首を引きつらせて鋭い声を上げてしまう。しかし、操られた人間の指はそんな反応には無遠慮だった。紫色のぷっくりした唇が黄色いスーツに浮き出した境目に沿って、その濡れたような表面を、指の腹でつつつと撫でさする。
「ふっ、くふぅぅ……! うっ!」
自分でもこの反応は異常だ、という声がメガイエロー、千里の口から漏れ出した。
肩の傷口であり、唇なのだ。いくらこのような極限状況だからといって、唇に指で触れられてこのような声を上げ、上半身を大きくびくりと動かしてしまうほどの身体感覚があるはずがない。鼓動がますます早くなり、血の気の引いていた身体が熱くなって、マスクの中の本物の唇を開けてはあはあと荒い呼吸を繰り返す。
その焦りとは対照的に、指の持ち主は依然として無表情を貫いたままで、何の感情も読み取れない。前方で薄笑みを浮かべて無言でいる口紅歌姫が実質的な責め手だといえた。

いちど唇から離れていた女性の指が、先程のような唇の際ではなく、唇の中央、唇の閉じ合わせのあたりに押し付けられた。唇をこじ開け、内側に入り込もうとするかのように指先の向きを変えると、濃い色のマニキュアで彩られた爪が柔らかな唇の膨らみに食い込み、メガイエローをまたあの感覚に引き入れていく。
「くぅ、うっ……! う、うぁ……」
触れられている唇を中心に、ビリビリと広がっていく電気のような甘い痛覚。考えたくはなかったが、女怪人の付けたこの「唇」は、性器に近い感覚を持っているとしか考えられなかった。
(わ、私の身体に、何を……!)
手の届かない口紅歌姫をマスクの中で睨み付けると、その気配に気付いたらしい口紅歌姫が腕組みのポーズをやめてメガイエローに近付いてきた。
「面白いでしょう。こんなもの、ネジレジアにある?」
そう言って唇型の青龍刀をメガイエローに突き付け、その鋭利な先端で、最初に胸元に縦に付けた紫のキスマークをチョンと小さく触れた。
「ふぅああぁっ!!」
強烈な刺激だった。武器の性質によるものか、それとも心臓に近い位置のせいか、刃の先で突かれた唇からは、ほとばしるような感覚が束になって襲いかかってきた。
「きゃあぁああぁっ! あぁ……っ!」
力を失っていた足腰までが強制的に電撃を流し込まれて浮き上がり、ブーツの中では足の裏が汗ばんで丸まった。汚れたタイルの上に黄色いスーツの膝が擦り付けられて音を立て、両腕を拘束されたメガイエローは背筋や首筋をくねらせて異常な興奮を身体から追い出そうと悶える。

明らかに性的な快感だった。下腹部が熱くなり、両脚の間、スーツの股間は僅かな湿り気を帯び始めていた。
(どうして…… どうしてこんな事……)
女怪人ならではの倒錯した責めに困惑するメガイエロー。この拷問が、ホウオウレンジャー・リンの居場所を聞き出すためのものであることを思い出し、交渉でこれを逃れることはできないのだということに改めて気付かされる。
「ま、待っ…… ぃいいぃっ!」
肩の傷口にまた細い指先が添えられた。今度は更に無造作な触り方だった。固く閉じた唇の中に指先を押し込もうと爪をぐりぐりと押し付けてくる。
「くぁあっ、そ、そんなっ!」
次にメガイエローを襲ったのは第3の傷口だった。腰に近い脇腹の傷、唇を、もう1人が中指を使って優しく刺激してくる。身をよじって逃れようとしても、後ろから密着するように肩を抱かれ、複数人で押さえつけられた身体はもうどうやっても抵抗の余地がなかった。

「あぁあああ〜っ!」
最初に指の侵入を許したのは脇腹だった。つぷりと第二関節まで入り込んだ女の指がゆっくりと折り曲げられると、唇の「内側」「内部」の柔らかく潤った粘膜が、侵入物に絡みつくように動いた。
(あぁあっ! ああ……!)
メガイエローには何が起こっているのか分からなかった。指を突っ込まれた脇腹の傷口、本来なら筋肉や内臓を傷つけられてしまうはずの場所が、熱く粘っこい快感を脳に送り込んでくる。同時に異常な興奮状態にある下腹部の生殖器官が、いま指で責められている場所に新しく作られてしまったような感覚。
「っぁああぁ〜っ!」
肩もそうだった。細い腕の表面に浮き出した唇の中へ深々と指を突っ込まれ、骨にまで達しているはずの指先が、一体どんな空間に存在しているのかという柔組織を掻き回し、首や腕の先が痙攣するような快感を生じさせてくる。
(こんなの…… こんなの、おかしい…っ!)

肉の快感を覚えさせるためだけに作られた架空の性器を抉り回されて悶えるメガイエローを、尋問という目的も忘れたのか愉快そうな女怪人が覗き込む。
「あんまりいい悲鳴で鳴くものだから、特別サービスよ。これをお前のような小娘に使ったら…… さぁどうなっちゃうのかしらね」
口紅歌姫の手に握られていたのは、先が斜めにカットされた真新しいピンクの口紅、しかし口紅にしては大き過ぎる、数センチの直径を持った棒状の代物だった。
「い、嫌っ……」
刀で一度触れられただけの胸の傷口がこれまで責められていなかったことと、その口紅の形状・サイズからして、それが何を意味するものかは想像の必要すらなかった。
ヌラヌラと脂ぎって光る大型の口紅を手渡され、メガイエローの前に腰を下ろした女性が、焦点の合っていない眼でそれを縦に構え、イエローのマスクの前でゆっくりと回した。
「やめて…… やめてお願い…… お願いします……!」
恐怖のために動くことすらできなかった。紫色の唇とは違った種類の毒々しさを感じさせるピンクの斜円筒が、こちらに真っ直ぐに向けられる。
メガスーツの胸に並ぶカラーブロックの赤を切り裂くように生み出された唇に、口紅先端の切り立った切断面が浅く咥えさせられた。
「ひっ……!」
そこからすぐに口紅が中に押し込まれることはなく、まずは紫色の両唇に、濃厚なピンク色の脂質がずるりと塗り広げられる。
(あ…… あ……)
触られただけでもびりびりとした感覚を返してくる胸の唇に、このルージュの刺激はあまりにも悩ましかった。掻きむしりたくなるような違和感で胸の中央を抉られ、メガイエローは喉の涸れたような声を漏らして首を仰け反らせる。
爛れた、という言葉を連想させるような2色の取り合わせで人工唇が染め上げられると、カラフルなメガスーツの胸元は一転して禍々しさを帯びた配色に変化したように思われた。

一瞬、胸から離れた口紅が、唇の隙間へ強引に滑り込ませるように押し入ってきた。ヌルルル、と体温で融けていく表面のぬめりを利用して、斜めにカットされた部位が全て唇の間に咥えこまれる。
「はぁあああぁあんっ!」
メガイエロー・千里は絶叫した。胸骨の中央、左右に割り開かれるような柔軟性などないはずの部位に開口部を作られ、口紅で犯された。
肩や脇腹の傷口よりもずっときつく閉じた唇に突き込まれた極太の口紅は、侵入時の摩擦で融け出した液体がほとんど外側に溢れ落ち、ピンク色にぬめり光る液体となってイエローのスーツに垂れていった。スーツのスカートを伝って、ポタポタと数滴が白いタイルを汚す。
(あぁ……)
クリ、クリッと口紅が唇の中で回されると、さらに融解した脂性成分が胸の内側に塗り込まれる。脈を打つ心臓から膜一枚隔てて口紅が回転、前後移動するのが、今度ははっきりと感じられる。猛毒とも言える、紅に練り込まれた特製の薬物はスーツから身体へ浸透していくことはなかったが、こうして体内に毒の塊を刺し込まれて犯されているというだけで、メガイエローの脳と精神はぐちゃぐちゃに掻き回され続けていた。


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Author:鳥籠
管理人の名前も鳥籠。
2chエロパロ板のヒロピンスレでの活動を経て個人ブログを立ち上げました。

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