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2014-04-13

羽毛(5)

敵の注意をなんとか逸らして、ダイバスターで逆転の一撃を食らわせてやりたい。だが、あまりに容赦のない攻撃の連続に反撃の機会が見つからない。
大輪剣による打撃から骨や内臓を庇おうと手を首から離せば、相手はそれを狙ったように髪の締め付けを強めてくる。辛うじて、右手で首と髪の間に隙間を作り、左手で肋骨の辺りを覆って、反撃ができなくなるような致命傷だけは免れている。
ただ一方的に殴られるだけの数分間の後、それに飽きたのかイヤリング官女が攻撃を止めた。

「うっ、うぅ……」
身体は痛むがまだ負けてはいない。しかし今は体力の回復を優先して、もう動けないふりをして髪で首から下を吊られたままにしておいた。
「ふっ!」
ホウオウレンジャーの首を掴んでいた髪が動き、華奢な身体を地面へ投げ付ける。砂に覆われた地面にめり込むようにして肩から叩き付けられた後、打撲の場所を押さえて苦しげに仰け反り、身体を丸めた。
「うぁっ、あ……!」
実際のダメージよりもかなり誇張した呻き声をあげ、敵の油断を待つホウオウレンジャー。反撃してくる様子のない相手を見たイヤリング官女は、髪に残っていた二つの大輪剣を背後へ放り投げ、回転を次第に停止した円盤がわずかに地表の砂を巻き上げた。
「だ、大輪剣を……」
倒れたままのホウオウレンジャーはわざと哀れっぽい声を出し、ガラクタと化してしまった自分の武器の落ちた方へ手を伸ばす。
「返して……! も、もうそれしか武器が……」
「おやおや、さっきのが相当に効いたようね」
不自然さを悟られているのではないか、もうこれ以上時間を稼ぐことはできないとホウオウレンジャーは判断し、倒れた状態から一気に片膝立ちの姿勢へ身を起こした。
「よくもやってくれたわね!」
これまで何度となく繰り返してきた動きで腰のホルスターからスターソードとスターカッターを瞬時に引き抜く。そして、それぞれをダイバスターの銃身と台座に変形……
そこでホウオウレンジャーの動きは止まった。それらの武器にもイヤリング官女の毛髪がぐるぐると絡み付き、どう見ても変形パーツを作動させることはできなくなっていた。
「あ……あぁっ……!」
長さからして、大輪剣で切り裂かれて落ちた髪が、活動を停止する前に置き土産のように装備の中へ忍び込んでいたようだった。
「ほほ、下手なお芝居だったわ」
逆転の機会をあっけなく奪われ呆然とするホウオウレンジャーの様子に、イヤリング官女が愉快そうに笑い声を上げる。
「でも自分で言っていた通りね、お前にはもう武器はない」
「っう……!」
ゆっくりと歩み寄ってくるイヤリング官女の口内に光る一つ目に見据えられ、恐怖で立つこともできないホウオウレンジャーは尻餅を着いたまま後ずさった。

空気を切り裂く音とともに、イヤリング官女の伸ばした綱のような髪束がホウオウレンジャーを捕らえた。
髪攻撃が来ることが分かっていながら避けられなかった。首を狙われたのではなく、今度は腋の下に、胴体を締め付けるように太い髪の束が巻き付いていた。
首を締められていなければまだ抵抗の余地がある、と考えたのは甘かった。そのまま徐々に肋骨全体を髪で絞られると肺が潰され、呼吸ができない。叫び声と共に息を吐き出すことはできても、吸うことができない。
「っは、あ……ぁ……っ!」
胸のふくらみを押し潰すように黒い髪がきつく食い込んでいる。手でそれを掴むと柔らかな感触をグローブ越しに掌に感じるのに、胴体をギッチリと拘束されている。
締め付けが一瞬緩むが、遠くなりかける意識を呼び戻し、マスクの中ではぁはぁと荒い息をするのがやっとで、両手に一応の剣を握っていながら何の抵抗もできない。
腋の下に感じる太い髪束の感触は、首筋で感じたのとはまた違う、巻き付いた場所をヌルヌルと這うような感触だった。髪束の表面が軟体動物か蛇の腹のように動いているため、ただ縛られているだけでもその場所を舐め回されているような感じを受けてしまう。気持ち悪い、と嫌悪感を感じるが、今はそれどころではなかった。
「あぁああぁっ!!」
ギュウゥウッ、と音を立てて髪が再度引き絞られると、まだ酸欠状態から回復しきっていない肺臓の中の空気を強制的に絞り出される。
(い、息が…… 息が……っ!)
両手に握っているスターソードやスターカッターを振るう余裕もなく、ただこの締め付けを1ミリでも緩めたい、という焦燥感で髪と自分の胸の間に手の指をこじ入れ、引き剥がそうとする。だが髪の拘束はびくともしない。苦しさで意識が薄れ、両手から剣がこぼれたことにも気付けない。
息が吸えない。酸素が欲しい。正座の後に足の痺れが切れた時のように全身がびりびりと痺れて、手足をじたばたと動かすたびに四肢が更に重くなる。目の前が暗くなり、視聴覚の麻痺した中で自分の心臓の音だけが響いている。

意識が途切れる寸前にまた一時、締め付けが緩んで、瀕死の命を繋ぐように呼吸を許された。必死で息継ぎを繰り返しながら、このようなピンチの時にいつも駆け付けてきてくれた仲間が全く現れないことに焦りと恐怖を感じていた。
(み、みんな……! 早く来て……!私一人じゃこいつに勝てない……!)
怪人の姉は「ここなら邪魔は入らない」というようなことを言っていた。この荒地では恐らく仲間と連絡を取ることができない。このままではイヤリング官女のなすがままに絞め殺されてしまう。
「ほっほっほ……! どう、痛い? 苦しい?」
「こ、こんなも……ぉおごぉおおっ!」
言い返そうとした瞬間にまた締め付けが始まり、背骨を折り曲げられながら窒息に悶える。まるで溺れているようにして足で空中を蹴り、胸を締め付ける黒髪の束をどんどんと殴りつける。空中に居ながらにして、水責めと同じ性質の拷問を受けていた。
(苦しい……! 誰か……だれか……!)

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コメント

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自分自身の武器が次から次へと壊されてさらに敵に奪われた武器に攻撃されて…読んでてヒヤヒヤしてきました…。

Re:

ありがとうございます。武器を壊されたり奪われたりというのは、ヒロピンではかなり重要なシチュだと思っています。
この話は地獄のッさんの要望だけを採用しているというのではありませんから、やらせたいことがありましたら提案してください。できる範囲で取り入れます。

No title

ハイペースで書いていただき、ありがとうございます。確かに締め付けだけだとだれますし(4)で書いていただいた武器を奪わたりして攻められるのもいいですね。
17話のようにダイバスターで反撃かと思われたらそうは問屋が卸さないんですね。次回から本格的な責めに入るようですかね?また更新が楽しみです。

Re:

今のシーンの最後まで書いたら2、3日の小休止を取ろうかと思っています。展開をじっくり練り直したいのと、他の方からも要望が出るかもしれませんから。
長さによっては、反撃はもう1回くらいあっても良いかもしれませんね。ダイレンロッドとか、気力技とかがあるので途中から入れることもできます。

くすぐったい感触とニュルっとした感触のW攻撃ってことですかね!?

Re

ここの後半の、胸に巻きつかれた時のことでしょうか。
快感や皮膚感覚への責めは1〜2話くらい後に本格的にやろうと思っています。
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鳥籠

Author:鳥籠
管理人の名前も鳥籠。
2chエロパロ板のヒロピンスレでの活動を経て個人ブログを立ち上げました。

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