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2014-11-23

渇水(5)

ハリケンブルーは胸の前で手を合わせて印を組み、水忍法の気を練る。
「忍法…… 水柱!!」
プールの水を足元へ集め、そこから急上昇させて身体を上へと持ち上げる。高さ数メートルの水柱を吹き上げ、そのままの勢いで飛んでガマジャクシの頭上から斬りかかる…… はずだった。
足の裏がぐいと押し上げられて、直立姿勢で身体が水面まで浮き上がった。プールの水面がさらに膨らみ、足元に丘のような曲線を描くが、そこまでだった。
「え……えっ!?」
(水が……足りない?)
子ジャクシに吸われて濃厚な粘液に変わったプールの中の液体は、水忍法で操れるだけの水分をほとんど残していなかった。背の高さほどには盛り上がっていた水面が、波が引くように元に戻っていく。前方へジャンプする体勢を整えていたハリケンブルーは、蹴り出す地面を失って前のめりに水面へ落下した。

「あっ!」
落ちたその場所にはコースロープがあり、ロープの上に折り重なるように胸を叩きつけてしまう。だが粘液の海に頭から突っ込むことだけは避けられた。
(水柱が……! でも、もうなんでもいいから……プールから出ないと……!)
ロープに抱きつくように掴まり、上半身だけを何とか水面から出している。ヌルヌルとした粘液プールの感覚、液面が揺れるたびに忍装束の内側で動き回る粘液塊の感触は堪え難いものになってきた。
「ゲロゲーロ、さぁどうする?」

行く手を阻む子ジャクシ達を掻き分け、ガマジャクシが居るのとは反対側のプールサイドを目指す。怪人に背を向けることには不安があったが、この状態で敵に向かっていくよりはましだった。
「あ……っ! うぅ……!」
ブーツの底が滑り、水の粘り気に逆らって歩くことができない。かといって卵がぎっしりと詰まったようになったプールの中をまともに泳いで行くこともできない。まるで川の上流に向かって進んでいるようだった。
(は、早く……上がらないと…… いけない……のにっ!)
たぷんたぷんと揺れる液面がマスクやバイザーを濡らし、視界に透明な膜を作ってゆっくりと垂れ落ちていく。必要な量の酸素が供給されて呼吸が確保されているはずのマスクが息苦しい。スーツの中で汗が吹き出し、アンダースーツの中にまで粘液が侵入してきたように感じてしまう。水の温度はひんやりとしたままだが、アンダースーツと忍装束の間に入り込んだ液体が生地に粘りついて外へ出ていかないため、自分の汗を含んだ生温い粘液がスーツの中で布地や肌にこすり合わされている。
「は……はぁっ! はぁっ!」
2本のコースロープを潜り抜けてようやく岸にたどり着き、後ろから撃たれないうちにとプールサイドへと這い上がる。十メートルかそこらの距離しかないというのに、粘液の中を歩いてきた手足はくたくたに疲れていて、運良くこちら側に設置されていた梯子を使わなければ水上に上がれなかった。

「はぁっ、はぁっ、はぁ……!」
(よ……よしっ、やっとこの……ドロドロから抜け出せたわ……)
プールサイドの端に膝をついた姿勢から立ち上がろうとしたが、体力の消耗は予想以上に激しく、身体全体がまるで地面へ吸い付けられたように重かった。
いつもプールで思う存分泳いた後、陸へ上がってしばらくは、水の浮力を受けて軽かった身体がその反動で重く感じてしまう。それはある種、快い疲労感でもあるのだが、今のこの身体の重さはただただ苦痛でしかなかった。体温までが急激に低下してしまったようで、このまま倒れ込んで眠ってしまいたいと思うほどの疲労が全身に渦巻いている。
「ん……んんっ……!」
脚をガクガクと震わせながら鉛のような身体を立たせようとする。青い忍装束の下半身、レオタード状に股に食い込んでいる部分とアンダースーツの隙間から、体温で温められた粘液が音を立てて染み出し、さらに、ピンポン球ほどの透明な卵までがそこからヌルリと押し出されて地面へ落ちた。下着のようなレオタードの中にまで粘液卵が入り込んでいたことに気付き、ハリケンブルーは生理的な嫌悪感に身を震わせる。
(そ、そんなことより……! ガマジャクシは……!?)
プールを隔て向こう側にいる、先程から何も動きを見せていない怪人の方へと振り向くと、その怪人が腕を交差させ、身体の前に紫色の電気のようなものを発生させるのが目に入った。

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コメント

なるほど、今回はソフトピンチという訳ですね。
でしたら失礼ですが、ホウオウレンジャーの纏足話を心待ちにしています!

Re: コメント

いや、もちろんR-18シーンはありますが、確かにいつもがかなりハードですからね。
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Author:鳥籠
管理人の名前も鳥籠。
2chエロパロ板のヒロピンスレでの活動を経て個人ブログを立ち上げました。

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