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2014-11-24

渇水(6)

ガマジャクシが両手を広げると同時にこちらへ飛んできた紫色の電光をかわすことも出来ずにハリケンブルーはそれを浴びた。目が光でくらみ、全身が一瞬びりびりと痺れて軽く硬直する。
「きゃあぁっ!」
その途端、地面へ倒れ込みそうだった上半身を支えていた両腕が急に身体の側へと引きつけられ、だが身体が前に倒れることはなく、逆に引き起こされるように真上へ持ち上げられた。
気付けば、両腕、そして胸のあたりに太い鎖がぐるぐると何重にも巻き付き、身体にきつく食い込んでいた。手は縛り付けられて動かせず、そうこうしているうちに足が地面に付かなくなるまで身体が宙に持ち上げられて、空中でじたばたと足を動かすしかできない。
「なっ、何これっ!」
古来の忍者が使う、鎖鎌で捕らえられたのに近かった。鎖鎌の分銅の代わりに、鎖の端には棘のついた大きな鉄球のようなものが取り付けられ、それが今はハリケンブルーの背中側にぶら下がっていた。
「宇宙忍法! ガマ砕きィ!」
ガマジャクシが腕を下から上へ勢いよく振りあげると、鎖に縛られたハリケンブルーの身体が十数メートルほど、ほぼ真上に高く舞い上がった。
青空に吸い込まれるように飛ばされたハリケンブルーだが、上空からの景色を楽しんでいる余裕などなかった。足元のはるか下で、プールの水面が日差しを反射してきらめくのを見た瞬間、背中にくくりつけられた鉄球が轟音と共に爆発した。

「あァあぁ〜〜っ!」
背中から重機で跳ね飛ばされたような衝撃と、爆風の熱気に包まれて、ハリケンブルーは一瞬気を失い、受け身の姿勢を取ることができずに墜落した。
プールの中央付近に、粘り気の強い水飛沫を立てて青色の身体が投げ込まれた。
「ぐぅっ!」
まるでカエルの卵だけをプール一杯に流し込んだような水の粘性をもってしても、空中落下の勢いを殺すことはできなかった。厚いコンクリート製の底に鈍い音を響かせて頭や腕が叩きつけられ、強制的に気絶から覚めさせられる。
身体中の骨や筋肉に鈍痛が走っている。重い粘液に満たされたプールの底で、手足を動かすたびスーツの中でぐちゅぐちゅと音を立てながらハリケンブルーは身体を丸めて痛みに耐えた。
「あっ……っは……! あうぅ……!」
身体を起こせるようになるまで暫くかかった後、コンクリートの上に横たわったままプールの外に目をやる。液の密度に濃淡があるために水中の視界が歪められ、プールの底から見上げる水上の風景は模様ガラスを通したようにぼやけている。
(こいつ、強い……! やっぱり私一人の力じゃ……!)
浸かっているだけで体力を奪われていくような粘液プールから、出ようとするたびに何度も引き戻され、今や這い上がる力も無くなるほどに追い詰められてしまっている。水中での戦いなら負けるはずがないと思っていたのに、今のこの状況は完全に相手の思う壺に嵌まったようなものだった。
(こうなったら、み……みんなを……!)
左手のハリケンジャイロを口元に引き寄せ、内蔵された通信機を作動させようとするが、通信を開始する時のいつもの独特の装置エフェクトが起こらなかった。
「まさか! 故障!?」
焦ったそのとき、頭上にさっと影がかかり、粘った泡音と共に飛び込んで来るものがあった。

味方などではなかった。水かきの付いた巨大な足の裏が視界いっぱいに広がり、マスクの後頭部がゴリゴリとプールの底に擦り付けられる。
「あ……うぁあっ!」
これまで陸上から攻撃を断続的に繰り返してきたガマジャクシが、ついに直接襲いかかってきたのだった。
「ゲロゲ〜ロ、そろそろとどめといくか」
プールの底に仰向けで横たわっていたハリケンブルーの頭、次いで胸の中央部を足で踏みにじり、容赦ない攻撃を仕掛ける。巨体の怪人に全体重を乗せてぐりぐりと踏み付けられ、水の浮力がある水中でなければ一撃で致命傷を負っていただろうという重量が上半身の狭い箇所にのし掛かっている。
(ま、まずい……! 水中でこいつと格闘したら……勝てない……!)
ガマジャクシが片足を上げた瞬間に必死で身体を横に反転させ、なんとか巨体の足の裏から逃れる。
この粘り気のある水中では起き上がることも普通にはできない。ヌルヌルしたコンクリートの底に手を付いてようやく身を起こし、頭上のコースロープを掴んで水上に頭を出した途端に、背後からガマジャクシに抱きつかれた。
「はぁあぁっ!」
そのまま体重を掛けて水中へと引きずり込まれる。変身状態であり、溺れるはずはない。だが本能的な恐怖にかられてハリケンブルーは夢中で水を掻き、上へ、水面へ出ようとする。
「ゲロゲロ、逃がさんぞォ」
背中や腕に密着したガマジャクシの体表は、両生類特有の粘液で覆われた皮膚と、機械のゴツゴツとした感触が入り混じったものだった。太い腕で身体と両腕を一纏めにして抱き締められ、シノビスーツ越しにとは言え不快な感触に鳥肌が立ちそうになってしまう。
「いやぁっ! あ、あぁっ! 放してっ!」
このような超近接距離の肉弾戦で、ハリケンブルーが怪人の腕力に勝てるわけがなかった。太くヌルヌルとした腕を首筋に巻き付けられ、叩いたり、ガマジャクシの足を蹴りつけたりするが、どうやっても外すことができない。
数秒間、全く呼吸ができない状態が続き、視界が暗くなりかけた後にもう一方の腕で片脚をすくい上げられ、背後からのし掛かるように水底に引き倒される。
「お……ぁはぁっ!」
無我夢中で怪人の抱擁から逃れようとするハリケンブルーの身体を、ガマジャクシはもう一度プールの底へ腹這いに押し付け、体重を乗せて激しく背中を踏み付ける。
「ごほぉっ!! ぉ……っ!」
潰れたカエルのような格好で、ハリケンブルーは肺の空気を吐き出して呻く。マスクの顎がプールの底にぶつかって鈍い音を立てた。背骨、胸骨が割れそうな痛みのために這って逃げることさえできず、敵の次の攻撃を待つしかない。そして、その横腹にガマジャクシの前蹴りが突き刺さった。

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コメント

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鎖縛り!

完全に油断してました…!
まさかここで「ガマ砕き」とは!
鎖縛りを、もっと執拗にやってほしい!
緊縛と爆発だけでなく、締め付けで苦しめるというのは如何です!?ハァハァ
また、
オタマジャクシに身体中纏わり付かれ、エネルギーを吸入される、かつ身体を弄られ発情させられる、という責めは如何でしょう?

Re: 鎖縛り!

原作に出てくる技はできるだけ活かす方針ですから。
鎖拘束は、前作での黒髪責めと似たシチュエーションなのであまり長くならないようにしようと思ってましたが、どうしましょうか。エネルギー注入も同じくですね。
とりあえずこのあと、またプールの中に落ちます。

いやぁ~目が離せませんね!

更新お疲れ様です。
この後、七海のスーツはどうなる事やら…

子ジャクシ達の餌にならないように気をつけないといけませんね 笑 (^。^;)

是非ともアノ部分を重点的にっ!(>。<)

Re:

次はまた週の後半の更新になってしまいますが、ご期待ください。

コメント

執筆お疲れ様です。
シチュエーションは全く違う中で原作の設定を活かす技術が素晴らしいですね!
エネルギー注入や爆破系などの火炎攻撃も歓迎です。
艶やかなスーツが爆破で汚されていくのもいいと思います。

更新、期待しています。

Re: コメント

ありがとうございます。今回はまだまだスーツの描写が足りないので、これから書いていきます。
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Author:鳥籠
管理人の名前も鳥籠。
2chエロパロ板のヒロピンスレでの活動を経て個人ブログを立ち上げました。

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