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2015-01-01

飼鳥(1)

第33話「アイドル初体験」より

夕暮れの近い海岸の砂浜で、ホウオウレンジャー・天風星リンはゴーマの女幹部、ガラ中佐の顔前に立っていた。

リンの背後には一塊りの機械の残骸が横たわっている。それは怪人、メディア魔術師の亡骸である。リンの温かさに触れ、人間の側に立つことを選んだメディア魔術師が、リンを庇ってガラに立ち向かった結果だった。
(ガラ、貴方だけは……絶対に許さない!)
リンの恋心を利用し、メディア魔術師を差し向け、そして最後にはその心変わりを戯言と切り捨ててかつての部下を殺したガラを許せるはずがなかった。

戦闘力では遥かに勝るはずのガラが、目の前に立つリンの気迫に完全に圧倒されていた。マスクの奥に隠された怒りと悲しみがガラにもはっきりと見て取れた。ゆっくりと拳を握り締め、振りかぶるリンを前に、手足が動かない。
「いやああぁっ!」
悲鳴とともにガラの頬を打ったリンは、転がるように倒れた敵を前にはぁはぁと息を弾ませた。一度は転身不能に陥るまで気力を奪われた身体である。立っているのがやっとの状態だが、これで終わらせる訳にはいかなかった。ゴーマの卑劣な策略に対して、たった一人でも決着を付けなければならない。

一歩前へ踏み出したリンの身体を、ぐいと抱きとめるものがあった。
(!?)
リンの上半身には、細い映画フィルム、ビデオテープなどが複雑に絡み付いていた。背後から伸びたそれらのテープは、いつに間にか砂浜に立ち上がっていたメディア魔術師の腕から発していた。
メディア魔術師が短く唸ると、テープが腕の装置の中へ巻き戻るように縮まり、リンの身体が怪人の方へ引き寄せられた。
「た、高村さん……?」
メディア魔術師の人間としての名を呼ぶリンに、怪人は苦しげな声で答えた。
「リン…… いや、ホウオウレンジャー……」
その台詞と、首にまできつく巻き付いた黒いテープに不吉なものを感じて、リンは背後の怪人と、ゆっくりと身を起こすガラの姿を交互に見た。
「すまない、俺は…… 偉大なるゴーマを裏切ることはできない……」
「……!」
人間の愛に一度は目覚めたはずの怪人の言葉に、リンは身体を強張らせた。メディア魔術師は、リンを助けるために蘇ったのではなかった。
「そうだ、それでいい……」
冷酷に笑って立ち上がるガラに見せ示すように、メディア魔術師はリンの首に片腕を回し、ゆっくりと締め付けていく。
「そ、そんな…… 高村さん……! やめて……!」
機械の身体の、ごつごつとして冷たい感触をスーツ越しに首筋に感じながら、リンは息苦しさに身を震わせ、やがて気を失った。

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コメント

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メディア魔術師は実はリンを庇ってガラに殺された振りをしていたというのはどうでしょうか?

Re

そこは少し考えがあって、演技ではなく本気だということにしたいと思います。
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Author:鳥籠
管理人の名前も鳥籠。
2chエロパロ板のヒロピンスレでの活動を経て個人ブログを立ち上げました。

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