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2015-01-13

飼鳥(8)

次に目覚めたとき、ホウオウレンジャー・リンは一切の拘束を解かれ、柔らかなベッドの上に横たわっていた。
清潔なシーツと、ふかふかとした枕の感触を感じ、つまりマスクを外されていることにも気が付いた。首から下はまだスーツを着ていたが、汗や体液で肌に張り付いたような感覚はなく、転身した直後のような楽な着心地だった。

暗かった部屋がやや明るくなり、ホウオウレンジャーは傍に座っている人影を見た。
「ひッ……!」
目に飛び込んできたメディア魔術師の姿に反射的な恐怖を呼び起こされ、あちこち痛む身体でベッドから逃げようとするホウオウレンジャーだったが、メディア魔術師はそこから床に膝をつき、頭を垂れて言葉を絞り出すように言った。
「すまなかった」
出会った頃のような、高村翔一郎の声と口調でメディア魔術師が続ける。
「裁判のことはどうか忘れて欲しい。助けるためにはあれしかなかった」
「え……っ?」
助かったの、と、手錠のない自分の手とメディア魔術師を見比べながらホウオウレンジャーは呟く。
「結果的に何とかなった。死刑は免れたんだ」
「……本当に……?」
法廷で死刑宣告が下った時より信じられない言葉に、素直な喜びは出てこない。
「一言で言えば、君は懲役刑ということになった」
喜んでいいのか、それとも、と一瞬考え込んだ末、やはりそれはホウオウレンジャー、リンにとってもある意味で最善の判決だと思い至った。懲役ならばまだ逃げ出すチャンスは0ではない。なにより、少しでも時間を稼げば、きっと仲間が来てくれる。
「言わせてもらえば、我ながらうまくやったよ。特にあの電撃、あれも俺が用意した。最後の1回を除けばそれほどの痛みはなかったはずだ」
珍しく饒舌になって裁判のトリックを話してみせるメディア魔術師の表情にリンは、プロデューサー・高村翔一郎としての顔を見た。
「でもあなたは、大丈夫だったの? あなたの裁判は……」
「俺はまあ、降格処分と言ったところだ。当分はこのゴーマ宮の外にも出られないし、下働きからやり直しだな」
「でも、裏切りは死、って……」
「結果的に、ホウオウレンジャーを捕らえたという功績を上げてしまったからな。それに何と言っても俺は、一度死刑を執行されたようなものなんだぞ」
お互いに悲惨な境遇ではあるが、過ぎてしまったことだけでも何とか笑い飛ばそうとして、二人は顔を合わせてしばらく笑い合った。

「ところで…… いつまでこうしていていいの?」
懲役とは言え、刑が確定したにしてはあまりに平和すぎる。裁判前の扱いを考えると、今のこの状況は逆に不安になるほどだった。
「そうだな」
メディア魔術師は腰掛けていた椅子からおもむろに立ち上がって言った。
「今は特別だ。実のところ、もう刑期は始まっている。刑の執行を担当する者がすぐに来る。そうなればまた監視付きの生活になるな」
その会話を待っていたかのように、部屋の扉がどんどんと叩かれ、金庫の鍵を開けるような音が響いた。その音の感じから、この小部屋が分厚い壁と厳重な鍵で外部から隔絶されていたことが分かった。
「来たな…… 仕方ない、またこれを着けてもらう」
そう言って、メディア魔術師はあの犬用の首輪を指にぶら下げて見せた。
反射的にあの屈辱の記憶が蘇り、ホウオウレンジャーの背中に冷たい汗が流れた。束の間の打ち解けた雰囲気が急速に厳しいものに変わって行くのを感じる。
「そ、その……」
手錠はともかく、首輪はどうしても着けなければいけないのか、と尋ねたかったが、あの法廷での決意を思い出して、もうここからは甘いことは言っていられないと言葉を飲み込んだ。
「形だけだ」
そう言ってメディア魔術師は拘束具をホウオウレンジャーの手と首に手早く巻き付け、首輪とベッドをロープで繋ぐとドアに向かって呼びかけた。
「どうぞ、準備はできています」
友人を迎えるような調子の声でメディア魔術師は言った。

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コメント

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拘束…2

う~ん、、最高刑だと言われてたから、
この後凄い調教拷問が行われるんでしょうけど、
仮にも怨敵であるホウオウレンジャーを捕縛して、非拘束でベッドというのは、あまりにも好待遇な気がします。
この後の淫獄とのギャップを付けたいのは分かりますが、違和感が残りました。

Re: 拘束…2

Twitterでも話しましたが、ここは完全に油断している(させる)場面で、読者的にも一息付くところがあった方がいいので、ひとまずこのまま行こうと思います。
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Author:鳥籠
管理人の名前も鳥籠。
2chエロパロ板のヒロピンスレでの活動を経て個人ブログを立ち上げました。

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