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2017-07-23

迷鳥(4)

「一体どういうこと? 西暦1993年!? あり得ない……」
大学の講義棟裏に立ったネジイエローは、構内で出会った学生から奪ったノートPCを片手で操作しながら呟いた。
自身の通信機能や、ネジレ次元を通じての空間移動が使えず、メガイエローを追い詰めたつもりが逆にこちらが孤立無援の状態に追い込まれてしまった、とピンク色の戦士から受けた攻撃を思い出しながら苛立たしげにキーボードを叩く。
「それに……」
もう一つ気に掛かったのは、PCの持ち主だった学生がネジイエローを見て叫んだ、「こっちにも出た!」という言葉だった。ネジピンクが自分と同じくメガイエローをここまで追ってきたという可能性はある。だがそれならお互いのネジレ反応に気付かないわけがない。ピンク色の戦士が、メガレンジャーとは違った種類の力やスーツで武装していたこととも関係していそうだった。
「しかし、データが少なすぎるわ……」
メガイエロー達ともう一度出くわす前に、少しでもこちらに有利な状況を作り上げておきたかった。

分厚いA4サイズのノートPCを地面へ投げ捨て、もう一度付近のサーチを開始する。ネジレ反応や電磁波だけではなく、あらゆる種類のエネルギー反応、特に人間型の生体エネルギーとして強力なものを、徐々に範囲を広げながら探っていく。
「……!」
対象と思われるものは意外とすぐに発見された。それは構内のそう離れていない場所に居て、人間と似て非なる種類の信号を発していた。

・・・・・・

(あれだわ……)
目立つ姿をした5〜6人の人影が構内地図の前に集まっているのをネジイエローは物陰から観察する。
「まずは音楽堂の方だわ。お前とお前は先に行って邪魔な人間を追い出しておきなさい」
一様に仮面を着け、黒い燕尾服のようなものを着た集団に向かって、女の声が指示を与えている。しかしそれは一見してやはり人間の女ではなかった。面積の少ない黒いボンデージ衣装を着た上に、紫色の帯が片脚から首元に向けて螺旋状に巻き付き、それと同色の、先が斜めに切り取られた長い円柱が鼻から上の頭部を構成している。両肩から突き出した赤い斜円柱は、頭部のデザインと合わせて口紅のスティックがモチーフとなっていることを予想させた。
その姿や声の調子によって、強いエネルギーを放つ中央の人物は女怪人と呼ぶしかない風格を漂わせていた。
「ねぇ……」
警戒心よりも興味が勝って、ネジイエローは建物の角からすいと進み出てその一団に声を掛けた。
一斉にこちらを向いた燕尾服の1人が向き直り、剣を振りかざして飛び掛かってくるのを、ネジイエローは片腕で受け止め、傍らへ放り捨てる。
「貴女、随分ねじれたヴィジュアルね」
「誰!? お前は」
流石に驚いた様子の女怪人が、燕尾服姿の戦闘員達を周りに従えて、手に持った大刀の先をネジイエローに向ける。
「誰かしらね。たぶん、敵の敵…… ってところじゃないかと思うのだけれど」
自分の戦闘力が迂闊に手を出せるレベルでないことが相手に伝わっているのを感じながら、モデルのように軽く斜めに構えてゆっくりと腕組みをしてみせる。
「敵…… ダイレンジャーの……!?」
「『ダイレンジャー』ね…… なるほど、だんだん解ってきたわ。あのピンク色の小娘、貴女も狙っているのではなくて?」

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