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2019-09-23

霞網(6)

霞網(5)に続く後半部です。



十数分ほどは続いた責めの後、スーツ越しの秘部から強引に性具を引き抜かれたハリケンブルーは、股間を埋めていた太い擬似男根からの解放感にびくんと仰け反り、そして絶頂の後のように息を漏らしてから、全身を縛り付ける荒縄に体重を預けた。
「ふぁ…… あ、ぁ……」
下半身は股を開いた正座、上半身は逆海老反りという姿勢で緊縛を受けた青色のくノ一は、水平のバランスを崩してやや前傾姿勢になりながら、背中側の吊り縄でぶらぶらと天井の鈎から吊り下げられた身体を揺らしていた。

ぐったりと首を落としたハリケンブルーが、もう物も言えずに放心しているのを笑っていた2人の深山衆忍者達だったが、やがて蔵の外から聞こえてきた、複数名が争うような物音を耳にして我に返り、互いに顔を見合わせた。
「おい……」
「うむ、行くか」
半分気を失って動かないハリケンブルーを尻目に、蔵の出口に向かって足早に去ってゆく。
その一方で、ハリケンブルーも尋常な気配ではない外の物音に意識を取り戻し、疲労に逆らって首をようやく持ち上げた。
(何……? いったい、誰が……)
そう考えながらも、頭の中にはある種の期待を含んだ想像が浮かんでいた。鷹介もしくは吼太が脱出に成功したか、それとも……

「ぐぁあぁっ!」
蔵を出ようとした忍者達を襲ったのは、至近距離で起きた小爆発だった。爆風に吹き飛ばされた1人は分厚い土壁に叩き付けられ、しばらく呻いた後、そのまま動かなくなった。
「ああっ……!?」
あまりに手荒い強襲に、蔵の奥に吊るされたまま愕然とするハリケンブルー。そして、巻き上がる白煙と共に入口からゆっくりと現れたのは、想像もしていなかった相手だった。
「あれれ〜?」
そこに居たのは鷹介でも吼太でも、そしてゴウライジャーの2人でもなかった。
蜂の頭部を思わせる羽毛の帽子に、原色の衣装を身に付けた小柄な少女。ジャカンジャの「一の槍」、フラビージョの姿だった。

「あっれれ〜、何これ。ハリケンブルー、捕まっちゃってたの〜?」
とぼけたような口調、それでいて相手を冷酷に見下ろしているようでもある、いつもの態度と表情でフラビージョはハリケンブルーのもとへスタスタと近付く。
「っ……!」
反射的に、地面を蹴って逃げ出すような動きを取ろうとしてしまい、しかし当然手も足も出ず縛り上げられたままのハリケンブルーは、天井から自分をぶら下げる縄の揺れる向きを変えるくらいしかできなかった。
「あっ、くぅ……!」
青色のスーツに包まれた身体が、窮屈な檻の中にいるようによじれ、縄を軋ませて、苦しげな吐息を漏らす。
あまりの出来事に敵との会話すら忘れてもがくだけのハリケンブルーを無視して、フラビージョは後ろを振り返って蔵の入り口へ声をかける。
「ねえねえ、ちょっとこれ見て〜」
それに応えて室内に足を踏み入れてきたのは、フラビージョとは対照的に身体のラインを露出した装束で妖艶な雰囲気を漂わせた、ジャカンジャのもう1人の女幹部、「四の槍」ウェンディーヌだった。

「フラビージョ…… それにウェンディーヌまで!」
乾いた喉を震わせ、やっとの思いで敵の名を呼ぶハリケンブルー。ウェンディーヌは少しの驚きと共に余裕たっぷりの表情を見せながらそちらへ歩み寄り、フラビージョの横に並んだ。
「あぁら、びっくり。こんな偶然もあるものね……」
2人の女幹部はしばらく、宙吊りのハリケンブルーを視線で嬲り物にするように、愉快そうな笑いを浮かべながら眺めていた。
(こ……このぉ……っ!)
恥ずかしさや悔しさで涙を浮かべそうになるハリケンブルーだが、なぜこの2人が急に現れたのか、そちらの方が気に掛かって、張り詰めた意識を何とか保つことができていた。

「この秘伝書…… これをハリケンジャーも狙っていて、3人がかりで盗み出そうとしたところをあっさり返り討ちにされてしまった、と、そんな所かしら?」
そう言ってウェンディーヌが勿体ぶった様子で胸元から古びた巻物を取り出すのを見てハリケンブルーは一瞬愕然とし、そしてまた平静を取り戻した。敵が手にした巻物はいかにも年代物のような雰囲気ではあるが、よく見れば自分達がすり替え用に持ち込んだ偽物だという事が分かったからだ。
(良かった……)
潜入先の忍者衆には捕まってしまったものの、ジャカンジャに秘伝書の偽物を掴ませるという任務には結果的に成功したことになる。ほっとしてマスクの中で表情を少し緩めてしまうが、しかしそれを悟られればすり替えにも気付かれてしまう恐れがある。今は迂闊な口をきくわけにはいかなかった。

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